東京電力ホールディングス(株)が、柏崎刈羽原発(中央制御室)の不正入域事案などについて会見

会見の様子(左から原子力・立地本部の稲垣武之副本部長、常務執行役新潟本社の橘田昌哉代表、執行役員柏崎刈羽原子力発電所の石井武生所長)

東京電力ホールディングス株式会社は15日、柏崎刈羽原子力発電所の中央制御室に東電社員が他人のIDカードを使って不正入域した事案と、7号機の安全対策工事が一部未完了だった事案などについて、その原因と対策などについて説明した。

橘田昌哉・常務執行役新潟本社代表は会見の冒頭、「柏崎刈羽原子力発電所において当社社員が他人のIDカードで不正に入域したこと、また7号機の安全対策工事で一部未完了が確認されたこと、さらにはフィルターベント伸縮継手の溶接に関し不適合があったことにより、新潟県の皆さまをはじめ広く社会の皆様なに大変なご心配をおかけしておりますことを改めてお詫び申しあげます」と陳謝した。

 

中央制御室への不正入域いついて

不正入域については、昨年9月20日朝、柏崎刈羽原子力発電所において、中央制御室員Aが同僚の中央制御室員Bのロッカー(無施錠)よりIDカードを無断で持ち出し、Bを名乗り入域を試みたところ、委託警備員および社員警備員Cは違和感を覚えつつも入域を止めず、社員警備員Cの裁量で中央制御室員BのIDカードに中央制御室員Aの識別情報を登録した。翌21日朝、中央制御室員Bが入域の際、個人を特定する認証にエラーが出たことから判明した。

橘田代表はこの日の会見で、今年1月まで公表しなかった理由について、「一切対外公表しないことが核物質防護につながると考えていた」と話し、今後については情報公開と核セキュリティのバランスを考慮しながら公表のあり方を検討していく」と語った。

また、強固な核セキュリティシステムの構築だけでなく、核セキュリティに関する遵守事項を理解させるための教育を始めたという。このほか、現場の登録装置の使用を停止し、現場で識別情報を登録できないようにした。

なおこの問題に関し東電は15日付で、代表執行役社長の小早川智明氏に「厳重注意」、常務執行役原子力・立地本部長の牧野茂徳氏に「けん責」、執行役員柏崎刈羽原子力発電所長の石井武生氏に「減給10%(1か月)」の人事措置を行った。

また、中央制御室員A(30日、※すでに違う業務についている)・社員警備員C(3日)・社員警備員Cの上司(3日)・核関連部門の管理者3名(5日間)の計6名を「出勤停止」にしたほか、中央制御室員Aの上司を「厳重注意」、IDを使用された社員と本社核物質防護関連部門の2名を「注意喚起」とした。

一方、橘田代表自身も1月の報道で初めてこの事実を知ったことに関連し、記者から「核セキュリティの問題ではなく、会社組織内部の問題ではないか」との質問が出ていた。

常務執行役新潟本社の橘田昌哉代表

 

7号機安全対策工事の一部未完について

7号機安全対策工事の一部未完了は、今年1月27日に6・7号機コントロール建屋に分散配置されている重大事故等対処設備(SA設備)を、火災から守るための対策工事(ダンパー設置工事)が完了していないことがわかった事案。工事を7号機に変更する必要があり設計側から工事側に変更の説明を行ったものの工事側が失念したという。

なおダンパーも含めた火災防護、溢水、自然現象対策は、通常より多いグループ・組織にまたがっているほか、対象工事も多く、設計側と工事側の連携が少し複雑になるという。こうしたこともあり、改革チーム(後述)が進めている総点検の中でも、壁の設置で新たに必要となった「火災感知器(熱交換器3カ所、煙感知器2カ所)」の工事が未完了だった事案が見つかったという。

橘田代表は、対策として「複数グループや組織にまたがり工事の対象が多岐にわたるプロジェクトについて、リーダーの責任と権限を明文化しリーダーがプロジェクトを最後まで完遂できるようにする」と語っていた。

一方、東電では先述の改革チーム(リーダー=稲垣武之・原子力・立地本部副本部長、メンバー13名)を今年1月に発足し、発電所業務全般の品質向上に向けた取り組み(総点検)を進めているほか、不正入域治安と工事一部魅了事案の共通要因の調査を行っている。これらの取り組みの結果については2月末に報告するそうだ。

このほか、「(これらの事案により)再稼働に向けたスケジュールは遅れるのか」という記者の質問に対し、「地元のご理解が大前提で、決められたスケジュールがあるわけではない。検査工程に与える影響については精査をしている」と答えていた。

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