KDDI(東京都)社員講師が「地方共創ファンド」などについて講義、新潟大学(新潟市西区)で「スタートアップエコシステム入門」講座を開催
新潟大学(新潟市西区)は2日、経済科学部の伊藤龍史准教授による「スタートアップエコシステム入門」講座をオンライン形式にて開催した。全8回の講座うち第5回目となる今回は、KDDI株式会社(東京都)地域共創推進部の全詠九(じょん・よんぐ)氏によるスタートアップの資金調達の仕組みやKDDIの取り組みなどをもとに講義した。
伊藤准教授は、さまざまなアントレプレナーやベンチャー企業(スタートアップ)を生み出す生態系である「スタートアップエコシステム」の構築について、概念を学ぶ授業(論理パート)を行い、それに続いて外部講師を招いて行う授業(講演パート)を実施している。
今回の外部講師である全氏が所属するKDDIは、ICT人材や起業家人材の育成による地域の活性化を目指しており、新潟大学とアプリ開発などを手がけるフラー株式会社(新潟市中央区)の3者で共同研究契約を2021年1月に締結した。今回の講座はその取り組みの一環として実施し、全氏は学生にとって馴染みのない株式会社の仕組みはスタートアップについて、または現在KDDIが取り組んでいるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)活動や地方共創ファンドなどについて講義した。
地方共創ファンドについては、ファンドの運用内容やピッチイベントを実施するなどの取り組みを紹介した。スタートアップを評価するポイントについて全氏は、スタートアップの市場規模、事業計画、実績、経営メンバー、体制などの観点を挙げて解説した。講義は参加学生からオンライン上でアンケートをとったり、質問や感想を募ったりし、コミュニケーションを取りながら進め、学生たちは理解を深めていった。
なお、KDDIが取り組むオープンイノベーション推進は、スタートアップに対してファンド活動を積極的に行っており、投資先は2022年9月30日時点で121社を数える。イノベーションリーダーズサミット(ILS)実行委員会と経済産業省が共同で発表た「イノベーティブ大企業ランキング」では、KDDIが5年連続で1位となっている。
伊藤准教授は、外部講師による授業の意義について、「現象そのものが新潟においてどんどんと出現している。単に理論的な話を学ぶだけではなく、現実との往復しながらの理解を図っていくということで、学生にとってはより深い理解につながったのではないかと思う」と話した。
続けて、スタートアップにおける新潟の現状について、伊藤准教授は、「スタートアップの数はまだ多くはないかと思うが、ここ2、3年で、その数が急速に増えてきており、成長率の高さは全国でもなかなかない場所。スタートアップエコシステムが生まれてくるために必要な要素を新潟県全体できちんと揃えていることが、大きな原因だと思う」と話した。