新潟市歴史博物館「みなとぴあ」(新潟市中央区)で「税関150周年記念イベント in NIIGATA」が開催
東京税関新潟税関支署は3日、新潟市歴史博物館「みなとぴあ」(新潟市中央区)で「税関150周年記念イベント in NIIGATA」を開催した。この催しは、税関発足150周年を記念し、新潟税関支署が主催した。当日は多くの観衆がイベント会場を訪れ、会場を賑わせていた。
税関のルーツは、1859年、長崎、神奈川および函館の港に「運上所」が設けられ、今日の税関業務と同様の輸出入貨物の監督や税金の徴収といった運上業務や、外交事務を取り扱うことになった。これが現在の税関の前身だ。
そして、1872年11月28日、「運上所」は、名称を「税関」と改められ、正式に発足した。その後、税関は貿易の伸長とともに歩みつづけている。
イベントが開催された「みなとぴあ」は、開港当時の姿のまま唯一現存する国指定重要文化財「旧新潟税関庁舎」を中心に、その周辺を一体的に整備して開館した。
国指定史跡にもなっている旧新潟税関庁舎周辺には、船から荷揚げするためにあった石段と保税倉庫としての石庫が復元されている。そういったことから、「みなとぴあ」は、税関と非常に所縁の深い場所だ。
税関の現場で実際に活躍する、麻薬探知犬によるデモンストレーションが実施された。ほかにも、新潟市内で活動するダンスグループによるキッズダンスやアカペラ公演など催しが披露された。
では、「ハンドラー」と呼ばれる麻薬探知犬とペアを組む税関職員が、同じ容姿をした6つの箱が並べられ、その中に1つだけある麻薬の匂いがする箱を当てるといったデモンストレーションが実施された。
麻薬探知犬は麻薬の匂いがするとその場で「お座り」をするように躾けられており、麻薬を見つけ出せたら「ダミー」と呼ばれるタオルを丸めた玩具を与えられ、ハンドラーに遊んでもらえる。この褒美をもらうために麻薬探知犬は不審物を探すのだという。
イベント会場近くの岸辺には税関大型監視船「りゅうと」が接岸され、普段は新潟東港に配備されている船舶が特別に一般公開された。
「りゅうと」は、全長37.0メートル、幅6.6メートル、総トン数143トンの大型監視艇。密輸などでよく使われる「瀬取り」と呼ばれる海上で積み荷を積み替える行為の抑止などを目的にしたパトロールが主な任務だ。「りゅうと」は、日本海側で唯一の税関大型監視船だという。
新潟市歴史博物館内では、実際に税関で使われている金属探知機などが展示され、訪れた人は実際に金属探知機などを手に取り体験することができた。
税関職員に話を聞くと、近年はコロナ禍の影響で空港などから人が手に持って密輸をするケースが減っているが、その分、郵便物などに違法薬物などを隠して密輸するケースが増加しているらしく、取り締まりを強化しているという。
東京税関新潟税関支署の川井穣(みのる)支署長は、「(今回のイベントについて)税関を知ってもらいたい、税関の仕事を色々知ってもらいたくて企画した。あとは、不正薬物などに手を出さないように一般の人に呼び掛けたいと思った」と話した。
続けて、「税関をよく知ってもらい、我々が行っている仕事の趣旨を皆さんに理解していただいて、税関に対しての理解と協力を求めていきたいと思う」と語った。