朱鷺メッセ(新潟市中央区)で「世界錦鯉サミット」が初開催、21カ国の駐日大使や外交団など約150人が参加
新潟県、長岡市、小千谷市、一般社団法人全日本錦鯉振興会で構成する「世界錦鯉サミット実行委員会」は6日、朱鷺メッセ(新潟市中央区)において、世界錦鯉サミットを開催した。21カ国の駐日大使や外交団のほか、国会議員や関係者など約150人が出席した。午前の第1部では、世界錦鯉サミット実行委員会会長で新潟県の花角英世知事がサミット宣言を行った。
新潟県が発祥の錦鯉は、200年以上の歴史を有し、世界60以上の国や地域で流通している日本を代表する魚として多くの愛好家がいる。錦鯉を新潟県から世界に向けて発信し、錦鯉産業の更なる発展、錦鯉文化の定着や拡大、錦鯉を通じた経済や文化の国際交流のさらなる促進を図るため、世界錦鯉サミットを初めて開催した。
主催者代表の挨拶で、花角知事は、「錦鯉発祥の地である新潟県から世界に向けて発信することは大きな意義がある。このサミットでは、泳ぐ宝石、平和の象徴とよばれる錦鯉の魅力や、誕生の歴史、錦鯉を通じた経済文化の交流について共通認識を深めていただき、世界の錦鯉文化の拡がりや今後の可能性について共有していきたい」と話した。
また、東京大学東洋文化研究所の菅豊教授が、「泳ぐ宝石『錦鯉』—その誕生の歴史と魅力について」と題し、基調講演を行った。講演の中で菅教授は、太平洋戦争によって錦鯉の生産が自粛されたことなどを説明し、「まちがいなく錦鯉は平和の中でしか生きられない。太平洋戦争がもっと長引いていれば、錦鯉文化は消えていたかもしれない。錦鯉は平和の時代を泳ぐ。戦争している国の中では、錦鯉を飼育したり、楽しんだりする余裕はない。錦鯉を愛せる国は、平和な国と言っていい」と話した。
基調講演に続いて行ったパネルディスカッションでは、「錦鯉を通じた経済・文化の交流について」をテーマに、錦鯉文化産業振興議員連盟幹事長で衆議院議員の平将明議員、フラー株式会社(新潟市中央区)の渋谷修太代表取締役会長、一般社団法人全日本錦鯉振興会の平澤久司理事長がパネリストとして登壇した。錦鯉の人気の拡大、デジタル化への期待、ツーリズムの可能性、国際親善としての錦鯉などについて話し合った。
デジタル化への期待については、長岡市の山古志地区で行っている非代替性トークン(NFT)の技術を活用した「デジタル村民」の取り組みや、自律分散型組織(DAO)などの、いわゆる「WEB3」の概念の活用に触れた。
平議員は、「日本のありとあらゆるコンテンツの価値を最大化するために、NFTなどのブロックチェーン技術を活用するのは、あきらかに日本の勝ち筋。そういったところで、錦鯉というコンテンツを活用される可能性があり、ポテンシャルが高い」と話した。
渋谷会長は、「今までのプラットフォームが強かった時代から、クリエイターたちの時代になってくる。錦鯉のみならず、クールジャパン的なものととても相性がいい」と話した。
また、世界錦鯉サミットに合わせ、朱鷺メッセ「展示ホール」で開催している、「クールジャパンEXPO in NIIGATA」では、新潟県の酒や食、文化や観光などをPRするブースが並び、各国の駐日大使や関係者たちを実行委員会担当者が案内した。参加者たちは、日本料理の試食や日本酒など試飲を行ったほか、錦鯉の展示を見てまわるなど、新潟の日本らしさを堪能。熱心に質問する様子や、商品を購入する様子が見られた。