新潟港を中心としたカーボンニュートラルの取組が進む、県新年度予算でも脱炭素の新事業を計上
新潟県では現在、脱炭素社会やカーボンニュートラルを目指すための取り組みが活発化している。17日に発表された新潟県令和3年度当初予算(案)では、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた具体的戦略のための「新潟県グリーン社会実現戦略検討事業」(1,000万円)や、県内事業者の脱炭素分野参入のための研究・開発などを支援する「地域循環型再生可能エネルギー形成促進事業」(2,030万円)を計上。
花角英世知事も「ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ社会を見据えた中長期的な取組」の3本の柱の1つに、脱炭素社会への転換を盛り込み「経済と社会の好循環」を目指すことを強調した。
そして同日には、経済産業省関東経済産業局との協力による「新潟カーボンニュートラル拠点化・水素利活用促進協議会」と、国土交通省北陸地方整備局との協力による「新潟港カーボンニュートラルポート検討会」が開催。両会議ともに、1月26日に続き2回目となる。
「新潟カーボンニュートラル拠点化・水素利活用促進協議会」は新潟の産業や物流などを活かした次世代社会システムの構築や、新潟港を拠点としたサプライチェーンの検討などを行う会議。東京工業大学、産業技術総合研究所などから学識者が集まったほか、ENEOS株式会社や東芝エネルギーシステムズ株式会社など県内外から民間企業が数多く委員として名を連ねる。今回は、事業モデル展開に向けたシナリオ設定や、産業ビジョンとロードマップ骨子の検討を行ったようだ。
一方「新潟港カーボンニュートラルポート検討会」は新潟港の活用に焦点を絞った取組が主で、エネルギーの需要側としての視点が中心となる。今回はアンケート結果をもとに、新潟港とその周辺における次世代エネルギーの需要の検討を行ったようだ。
冒頭挨拶に立った北陸整備局の岸弘之次長は「前回の開催からあまり期間は空いていないが、燃料アンモニア導入官民協議会(経産省が進めるアンモニア燃料導入促進の取組)の中間とりまとめが9日に提出され、その中でアンモニア燃料の安定的供給のためにサプライチェーンの重要性が指摘されるなど、多くの取組が動いた」と話した。
会議は非公開で行われるものの、内容については後日、北陸地方整備局webサイトで議事概要が公開される。それによると1月開催の第1回では、県の脱炭素社会実現の取組の説明以外に、構成企業から廃棄物処理の余剰電力により水素を製造し、フォークリフトの燃料として活用する取組の紹介と、将来的に貨物鉄道の利用によるモーダルシフトを図るとの発言があったようだ。脱炭素に配慮した取組として、トラックや荷役機械のフランチャイズ化の将来的な可能性に関しては引き続き議論していくという。
両会議共に次回は3月中旬を予定している。
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