岩塚製菓(新潟県長岡市)の第2四半期決算、売上高14.8%増も燃料費高騰などにより営業損失
岩塚製菓株式会社(新潟県長岡市)は9日、2023年3月期第2四半期決算(連結)を発表した。
売上高95億9,198万8,000円(前年同期比14.8%増)、営業利益△2億6,758万3,000円(前年同期は△3億6,708万3,000円)、経常利益44億2,646万5,000円(前年同期は6億6,862万3,000円)、親会社株主に帰属する四半期純利益32億3,455万1,000円(前年同期は4億432万2,000円)となった。
三幸製菓株式会社(新潟市北区)の2月の火災事故にともない、業界を挙げて増産体制をとり商品供給に努めてきたが、夏場の需要減退や消費マインドの変化などから、市場動向はやや低調に推移している。一方で、世界的な資源・エネルギー価格の高騰や円安の進行などから、原材料や燃料費などが軒並み大幅に値上がりし、価格転嫁もままならないなか、採算面において極めて厳しい事業環境となっている。
開発部門においては、新たな発想による米菓の開発を進め、顧客に感動してもらう新しい岩塚価値商品づくりを行うことで、他社との差別化を図りたいと考えている。米(原材料)・技(開発製造)・心(良品のお届け)の創業精神に拘り仕立て上げた「米技心」シリーズを開発・発売したほか、日本料理の人気店の監修を得て贅沢な大人の味わいを実現した「黒豆せんべい」を料理人が作る旬な味としてシリーズ化した。
製造部門では、食用油・包装資材などの原材料や天然ガスなどのエネルギー価格が急騰し、外的要因によるコストアップに歯止めが掛からない状況が続いている。このため、主力品への集中生産などにより生産効率を高めるとともに、物流体制を整備するなどコスト削減のための自助努力を重ねているが、工場増設に係る固定費負担が残るなか、製造原価の高止まりを余儀なくされている。このため、機械化が可能な作業のロボット化による省人や、電力使用量削減のための設備導入を進め、更なる生産性向上に努めている。
営業部門では、代替需要に対し定番売場維持を最優先として「田舎のおかき」など主力商品の安定供給に注力、特定企業に偏った販促品などの拡販を自粛し、全国的な品薄状態の解消に向け広く配荷に努めてきた。市場の安定に伴い、商品供給を優先するため控えてきた「米技心」シリーズ等の新商品を順次投入し売上高の確保を図るとともに、10月以降の価格改定(想定価格改定率6から12%)を浸透させるよう、営業活動を強化し取り組んでいきたいと考えているという。
この結果、2023年3月期決算第2四半期連結累計期間における業績は、原材料や燃料費が大幅に高騰するなか、前半こそフル生産による販売増からコストアップを吸収できたものの、夏場以降の需要停滞から係るコストアップがもろに響いた結果、前年同期間比増収増益ながら営業赤字となった。
売上高は、前半は代替需要に応えて伸長したものの、夏場の消費停滞や節約志向の高まりなどから需要が急減、販促品自粛の影響もあって伸び率が鈍化、95億9,200百万円(前年同期間比14.8%増)となった。損益面では、製造原価が高止まりするなか、夏場以降の販売の伸び悩みからコストアップを吸収できなかった。
岩塚製菓によると、利益面においてもっとも影響が大きいのは燃料費であり、前年の第2四半期までと比較すると、売上高は14.8%増だが、燃料費が約2億1,000万円上昇し、約2倍に近い増加となっているという。
来期に向けた燃料費の展望については、政府が2023年1月から8月の間で、燃料としている天然ガスや電気に関しての補助を行う総合経済対策が閣議決定されたことに触れ、これに期待する状況だという。
下期に向けた対応について、岩塚製菓の槇大介専務取締役は、「三幸製菓が戻ってきているなかで、平均売価などを見ていても値段では勝負ができない戦いになってきている。そこで、さらに下をいくというのは現実的ではない。その中で、岩塚製菓らしい新しいもので米菓売場の価値を上げていくという活動に舵を切っている」と話した。
また、秋から冬にかけた新商品の投入について、槇専務は、「三幸製菓が戻りきっていないところで、当社としても定番売場を獲りたいと思っている。どんどん仕掛けていくためには、新しいものを持っていかなければならないと思っている」と話した。
なお、経常利益に関しては、岩塚製菓が株式を保有するWANT WANT CHINA HOLDINGS LIMITED.(旺旺グループ 中国)からの株式配当金42億8,800万円を営業外収益の受取配当金に計上している。
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