【道の駅特集】過去に道の駅売り上げ日本一になった「道の駅あらい」 県内唯一の高速道路との連結、飲食店の多さが人気の秘密【動画あり】
過去には道の駅の売り上げ日本一にもなった道の駅あらい(新潟県妙高市)。現在でも集客数は新潟県内トップクラスである。新潟ふるさと村と常に県内ナンバーワンを競っているという「道の駅あらい」の鹿住正春駅長に今後の展開を聞いた。
わが新潟県内で日本一になった場所がある。日本一はなかなかないだろう。しかも上越地域である。道の駅あらいは2009年の「日経グローカル」誌(日本経済新聞社発行)において、2008年度の売り上げが全国の道の駅で日本一になったと報じられた。今から十数年前のことであるが、上越地域でも日本一になれることを証明してみせた。
県観光局が公表している観光統計によると、2016年の道の駅あらい全体の利用者数は302万1490万人、翌2017年は293万7,850人、2018年は303万3,840人であった。つまり、ここ数年は毎年300万人のペースで利用者が訪れていた。
しかし、近年はコロナウイルスの影響で、利用数はコロナ禍前の約7割だという。それでも年間約200万人が訪れていることになる。
現在、全国に1,100以上の道の駅があるが、そのほとんどは休憩・情報発信施設と、朝採り野菜や特産品販売、それに食堂などの地域振興施設で構成されている。それにお土産売り場しかないという。
一方で、道の駅あらいの場合、国道はもとより、上信越自動車道と連結している点が強みといえよう。近隣では長野県の「道の駅おぶせ」などがあるが、全国的にも珍しく、新潟県内唯一の高速道路との連結や飲食店の多さ、コンビニ、ホテル、鮮魚センターの存在などが他を圧倒する集客力の高さの秘密のようだ。
1991年に上信越自動車道の路線発表がなされ、1993年に道の駅の制度が出来た。1999年に高速道路が開通し、翌2000年8月に道の駅あらいがオープンした。
「そもそも、最初はパーキングエリアだけでインターチェンジはなかった。高速道路開通を活かして何か地域振興が出来ないかという検討が始まったと聞いています」(鹿住駅長)。
ちなみに、高速パーキングエリアからは歩いて道の駅に来られる仕組みになっている。ホテルに泊まる客の中には、インターチェンジを降りずに、歩いてきて泊り、リセットしないで高速に乗る人もいるという。
「しかし、最初からすべての店舗が埋まっていたわけではありません。おみやげの『カンパーナ』さん、ラーメンの『ミサ』さん、『日本海鮮魚センター』さん、『すき家』さんは早かったですね」(鹿住駅長)。
駐車場が470台収容というのも魅力だ。インターネット上では、道の駅あらいは車中泊ができることで有名とのことだが、確かにトイレがあり、水道があり、駐車場が広い。連休になるとキャンピングカーが止まっているという光景が珍しくない。
「国としては厳密には車中泊は禁じています。あくまで仮眠ならいいということです。しかし、線引きが難しい。他の道の駅も同じだと思います」(鹿住駅長)。
また、利用客がどこからきているかだが、新潟県内ナンバーが50%、長野県内ナンバーが25%、その他が25%だという。この割合はここ数年変わっていない。やはり、県内と妙高から近いの長野県が多いという結果になったが、その他の25%は関西よりも関東が多いということである。例えば、群馬県や埼玉県などが多いという。長野県は国道利用でも1時間で来られるという距離感と、鮮魚センターがあることが人気の理由ではないかと鹿住駅長は分析する。
一方で、令和2年7月には拡張道の駅がオープンした。拡張した大きな要因は2つあるいう。ひとつは、2015年に国の重点道の駅に認定されたことだ。重点道の駅の制度ができた初年度に認定されている。主に防災拠点としての役割が求められており、新規の場所には駐車場の確保と防災広場の設置が決まっている。もう一つは、農産物直売所を拡張してほしいという声に対応するためだ。新規の道の駅では、直売所のほか、農家レストラン、雪室も展開している。また、拡張道の駅あらいは、令和3年には防災道の駅にも認定された。
鹿住駅長は「これからはウィズコロナの時代だが、コロナ対策もばっちりしているので、ぜひお越しいただきたい」と話していた。
従来の道の駅は目的地ではなく、休憩施設であった。しかし、現在では目的地としての滞在型の道の駅が続々と生まれている。例えば、子供の遊び場があったり、足湯があったり、体験施設やドックランがあるという具合だ。
こうした新時代の道の駅も生まれる中、ワクワク感のある、訪れて楽しい県内の道の駅を今後も特集していきたい。
(文・梅川康輝)