新潟県内の医療従事者向けに新型コロナウイルスワクチンの優先接種が開始

新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける新潟大学医歯学総合病院の冨田善彦院長(写真左)

新潟県は8日、県内5つの医療機関で医療従事者向けの新型コロナウイルスワクチン接種を開始した。接種の様子が公開された新潟大学医歯学総合病院では、1日に約250人、2週間で患者と接触のある職員全員への1回目の接種を終わらせる予定だ。新潟県では今後順次県内の病院で接種を進め、5月前半には県内の全医療従事者分のワクチンの配布を完了することを目標としている。

国が主導する国立病院での先行接種はすでに2月中旬に開始されているが、県立病院や小規模な医療施設でのワクチン接種は本日から開始となる。8日は、新潟大学医歯学総合病院、新潟市民病院、長岡中央総合病院、魚沼基幹病院、上越総合病院の5箇所で接種が実施、今後県内のほか医療機関においても医療従事者向けの優先接種が順次開始され、3月上旬中に県内10病院で開始される。

新潟県内で消防・救急職員、薬局、訪問看護などを含む医療従事者は約8万5,000人。国は3月中に4回、各地域へワクチンを配布する予定であるが、新潟県ではそれぞれ9箱(975回分)計36箱受け取り、1万7,550人へ2回の接種(新型コロナウイルスワクチンは十分な効果のためには2回の接種が必要)が可能となる予定だ。5月前半には、県内医療従事者全員への2回分の接種体制が整う見込みである。

接種会場入り口

接種の様子

なお、ワクチン接種体制を構築することが難しい小規模な医療施設などでは近隣の大型病院などと連携して接種を実施することになるが、こちらも同時並行で進められていく。

接種公開後に会見を開いた県医療調整本部の松本晴樹部長は、県内の接種開始について「95%という高い有効性を持つこのワクチンには県としても期待している。想定よりも早い8日の段階で県内5箇所の病院で接種が開始でき、非常にスピード感を持って体制を構築できている」と話す。

接種現場が公開された新潟大学医歯学総合病院では、1日に約250人(最大270人)への接種を行い、土日を除く2週間で院内で一般患者と接触のある職員(医師、看護師のほかに院内の清掃員などを含む)約2,500人への1回目の接種を完了させ、4月からの新入職員を含めて5月上旬までには各員2回の接種が完了する予定だ。

接種公開後に会見を開いた県医療調整本部の松本晴樹部長(写真左)と新潟大学医歯学総合病院の冨田善彦院長(写真右)

ワクチン接種を終えた職員からは「思ったよりも痛くなかった」との声が多数上がった。松本部長は「注射の痛さというのは接種を受ける人にとって重要なことだと思う。(インフルエンザワクチンなどの皮下注射よりも深く挿す)筋肉注射だが、それによって痛みが変わるというデータは無い。注射の痛みの強弱は、注射する液体の酸性によって変化し、新型コロナワクチンは比較的痛みが少ない方」だと解説する。

実際に接種を受けた新潟大学医歯学総合病院の冨田善彦院長は「医療従事者へのワクチン接種は、(コロナ禍の)第2幕だと思う。医師などが感染しにくくなることで、これまで以上に県民への医療サービスが提供できるようになる」と期待感を語る。また接種体制に関しては、「1月下旬から綿密な計画とシミュレーションを繰り返してきたが、大きく違えるところもなく順調だった。しかし、アナフィラキシーショックや副作用などへの対応もあるため、2重3重に備えていかなくてはいけない」と話した。

 

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