長岡産コシヒカリ 新幹線の速さで各家庭の食卓へ 株式会社ひとつぶが新商品「Super Express Rice」シリーズを商品化(新潟県長岡市)

「多くの人に食べて欲しい」とSuper Express Riceを手にする野中さん

日本人が本当に米を食べなくなった。農林水産省が最近まとめたデータによれば、米の一人当たりの年間消費量が、昭和37年度118・3Kgをピークに年々減少し、令和3年度では51・5Kgと半減しているという。米離れの背景には、食生活の変化や人口減少、生産者の高齢化など、複数の要因が考えられる。もちろん、生産者もただ手をこまねいて見ているだけではない。米の需要・消費拡大対策としての米の輸出促進や、パックご飯の開発、米粉の利用など、斬新なアイデアを活かして巻き返しを計っている。

新潟県内でも有数の米どころである長岡市内の生産者達も、無洗米を使ったユニークな商品の開発、販売によって米の需要・消費拡大を試みる。県内在住のイラストレーターによって描かれた全6種類の新幹線(200系、E1系、E2系、E4系、E7系、E926形)のパッケージは、鉄道ファンならずとも目をひく斬新なデザインである。

株式会社ひとつぶ(新潟県長岡市)よって企画され、10月8日から本格的に販売を開始した「Super Express Rice」シリーズである。売れ行きは好調で、11月にはふるさと納税の返礼品としても採択された。

同社は、もともと地元農産物をPRする商品の企画や農家の経営を効率化するシステムの開発を手がけるソーシャルベンチャー企業である。地域の農業生産者や企業の声を聞き、そこから問題点や課題等を洗い出し、ITなど最新の情報技術を駆使しながら、課題解決に向けた事業を行っている。社名「ひとつぶ」には、「私たちの「ひとつぶ(=アイデア×実行力)」で、より良い未来をつくる」という想いが込められている。令和3年に誕生したばかりのまだ若い会社だが勢いがある。立ち上げたのは、同社・代表取締役の髙橋亮太さん(36歳)と取締役の野中大輔さん(28歳)で、いずれも長岡市出身である。二人の年齢を聞いて、その若さに驚いた。

野中さんは、「もともと起業してみたいという想いは学生時代からあった」と話す。「(学生時代に)地域の活動やイベントに顔を出しているうちに、地元の起業家さんが凄くキラキラしているように見えた」という。卒業後、一般企業にも就職したが、次第に「地元長岡のために起業したい」と考えるようになったという。そんな野中さんに、地元にUターンしたばかりの高橋さんを紹介したのが、現在も建物の一部をオフィスとして提供している長部農場の長部茂幸さんだった。

あるとき、髙橋さんと野中さんが、オフィス付近の田んぼで「お米は売れないのかな・・・」と諦めかけていたところ、目の前の高架上を一台の新幹線が一瞬にして通り抜けていった。その姿を見て、二人は、「これだ!」と思いついたという。

一年一作という長い年月をかけて生産されるコメに対し、新幹線は超特急という短い時間で駆け抜けてゆく。「コメ」と「新幹線」という性質が全く異なる2つのものを逆説的にコラボレーションすることによって面白い商品が出来るのではないか、と思った。また、農業を新幹線にかけて「ここが終着ではない、ここからが始発だ。超特急で変化する時代に、農業から牽引してみよう」という想いも込めた。

同商品が扱っているのは、「エコ・5-5運動」という特別な栽培方法によって生産された長岡産コシヒカリである。「エコ・5-5運動」とは、化学合成農薬の使用回数と化学肥料を通常の5割以上減らした栽培方法である。環境に優しく、安全・安心なものであるとして、長岡地域の生産者が平成17年から、一丸となって取り組んでいるものである。

「(商品化に当たっては)地元のJAさんから米の提供を受けて開発した。地域巻き込みの事業が出来たのですごくよかった」と野中さんは満足そうである。

また、長岡市出身で、鉄道ライターとして活動しているGATA_TETSUさん(36歳)は、同シリーズについて、「上越新幹線を走る車両がパッケージの斬新なお米。鉄道もお米も好きな私にとって、二度楽しめます」とコメントを寄せた。

新潟県内では、株式会社野上米穀(長岡市千手2)、Sta.N.d life store(新潟市中央区花園1)などで、6種類単品で購入することが出来るほか、全種類をひとつの箱にまとめた“箱セット”が野上米穀の店舗やECサイト、JRE MALL NIIGATA1○○のECサイトなどでも購入できる。野中さんは、「新潟出張の際のお土産や、お子様への贈答品などとして是非購入して欲しい」と語った。

新幹線のパッケージデザインが、一際目をひく

カラフルなデザインなので、パッケージをみているだけでも楽しい

株式会社ひとつぶは長部農場内にある

 

 

(文・撮影 湯本泰隆)

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