親子でゆったり過ごす時間を 新潟県長岡市で「ひだまりハウス」がプラネタリウムを開催 ぷち縁日も盛り上がる

天井いっぱいに広がる火星

最近は忙しさのせいか、夜空の星を見る機会がめっきりなくなった。たまに意識して星空を見るといっても、満月の空や月食の空など、月ばかりが中心になってしまっている。新潟県長岡市では唯一プラネタリウムの施設があった青少年文化センターも、2019(令和元)年3月をもって閉館した。今では地元でプラネタリウムを楽しむ場所もない。

4日、アオーレ長岡(新潟県長岡市)にある協働ルームでは、障がいをもつ子どもとその家族がゆったり寝そべったりしながら天井投影プラネタリウムをみるという面白そうなイベントが開催された。

天井に投影されたプラネタリウムは、4日の夜空の様子から始まり、十二星座や太陽系の惑星の紹介、銀河の話など、だんだんと視野が広がっていく。そんな様子を、優しい口調で、わかりやすく語るのは、「一般社団法人星つむぎの村」(山梨県北杜市 跡部 浩一・高橋 真理子共同代表理事)の会員で、新潟県立がんセンター小児科で保育士ボランティアなどをしている大和紀子(50歳)さんである。同「星つむぎの村」は、「星を介して人と人をつなぎ、ともに幸せを作ろう」をミッションに、プラネタリウム、星空観望会、星や宇宙に関するワークショップなどを展開している団体である。

様々な星座や惑星が、次々に天井に映し出される

参加者達は、次から次へと天井に現れる星座や惑星の説明を横になって聞きながら、ときにはうっとりと、あるいは圧倒された様子で見ていた。

イベントを企画したのは、長岡市内で、障がいや発達に遅れのある子どもを持つ家族を対象に勉強会やサポートを行っている市民団体「ひだまりハウス」代表の小西美樹さん(35歳)である。開催に当たっては、紀子(50歳)さんと、ご主人・淳(あつし)さん(57歳)の協力を得た。ご自身の娘さんを小児がんで亡くされたという紀子さんは、保育士ボランティアを行いながら、新潟市内の支援学校などで、子どもやその家族向けに、天井投影プラネタリウムのワークショップなどを行っている。

自身も障がい児を持つという小西さんは「子どもの生活リズムを崩さないために、夜に子どもと外出することが、全くといっていいほどない」と語る。小西さんが目先のことでいっぱいいっぱいの毎日でちょっと疲れていたときに、新潟市内で行われた「病気や障がいのある子どものきょうだいの支援」を目的としたシブリングサポートの研修で、紀子さんと出会い、紀子さんの話を通して、「星つむぎの会」の活動を知った。結婚前は夜の海などが大好きでよく海や星空を見ることが多かった小西さんだったが、最近「まったく星空を見ていなかった」ことを思い出し、今回のイベントを開催しようと思ったという。

市内在住の樋口太郎さん(44歳)は、息子の一太さん(10歳)と一緒に参加した。前にも一度、青少年文化センターで、親子でプラネタリウムをみたことがあったが、そのときの一太さんはあまり興味を示さなかったという。「今回、久しぶりに一緒にプラネタリウムをみたが、前よりも興味を持っていた様子。来て良かった」と満足げな様子だった。

別室では、「キーホルダー作りのワークショップ」や「ぷち縁日」なども行われ、プラネタリウムが始まる前後にはたくさんの親子連れで賑わっていた。市内在住で小学2年生の子どもと来ていた40代女性は、プラネタリウムが始まる前に縁日でスライム作りのエリアにいた。「こういう会に参加したのは初めてだが、前から来てみたいと思っていた。特性のある子ばかりの集まりなので、普通の場所より気兼ねなく来れる。気疲れがなくていいかな」と感想を語った。「今後もボランティア活動などでお手伝いできれば」と「ひだまりハウス」の活動に関心を示す。

小西さんによれば、「暗い部屋が苦手なお子さんもいらっしゃると思い、縁日も開催した」という。『「もう1回見たい!」とお話してくれたお子さんや「星が近づいてくるのにびっくりした」と楽しそうに話してくれてお子さんもいて、企画して良かったなと思う』とイベントを終えて振り返った。

プラネタリウムは13時から15時10分までの間に休憩を挟んで全3回行われたが、各回とも、時間を忘れるくらいゆったりとした優しい空気が流れるイベントだった。

県内各地でプラネタリウムのワークショップを大和紀子さん(左)とご主人の淳(あつし)さん(右)

家族でプラネタリウムを見に来たという樋口太郎さん

イベントの成功を喜ぶ小西美樹さん

(文・撮影 湯本泰隆)

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