新潟県佐渡市の高田家住宅主屋など3件が新たに有形文化財に登録

高田家住宅主屋 (佐渡市世界遺産推進課提供)

国の文化審議会が19日に開催され、新潟県内に所在する3件の建造物を国の登録有形文化財に登録されるよう文部科学省大臣に答申した。登録は、答申後に行われる官報報告をもって正式決定となり、新潟県内の登録有形文化財(建造物)は530件になる。

今回、新たに登録有形文化財(新潟県内分)となる3件は以下の通り。

◎建築物・住宅 高田家住宅主屋 (佐渡市)
◎建築物・住宅 高田家住宅土蔵 (佐渡市)
◎工作物・住宅 高田家住宅門及び塀 (佐渡市)

高田家住宅は、重要文化的景観「佐渡相川の鉱山及び鉱山町の文化的景観」選定地内に所在する木造家屋。高田家は元禄期(1688年から1703年)ごろまでには同地内に居住し、文政9年(1826年)には地域の有力者として現在地に存在していたことが記録されている。天保6年(1835年)には鉱山経営にも関わっていたほか、明治初期には養蚕業にも深く関わり、蚕卵紙の生産や桑の栽培の奨励・指導にあたっていたことでも知られる。

今日、高田家は漢方薬の製造販売で財を成したことで知られるが、これは明治4年に佐渡県より「製薬並びに殖産勧業掛」を申し付けられたことに由来すると考えられ、北蒲原郡中条から婿入りした5代目鋏之介が、実家伝来の薬を元に処方したとされている。

高田家住宅土蔵 (佐渡市世界遺産推進課提供)

高田家住宅門及び塀 (佐渡市世界遺産推進課提供)

高田家住宅の母屋は、相川の伝統的な町屋形式に従いつつ、主体部に薬品製造所を増築した大型民家で、内部の開放的な「オエ」(居間のような空間)が特徴的である。通り沿いに建つ2階建て土蔵や門、塀とともに鉱山町の景観を形成している。

高田家を住宅を所有する高田紀世氏は今回の答申に対し「登録有形文化財に登録されることは大変ありがたいこと。建物はこれまで、先祖代々、大切に守り、維持管理に努めてきた。登録を契機に、まちの歴史とともに後世へと伝えていきたい」とコメントを寄せた。

また佐渡市の渡辺竜五市長も「相川の重要文化的景観地内に所在する建物でもあることから、世界遺産登録に向けても、大きな励みになると思う」と期待を語った。

 

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