【道の駅特集】県内4番目の道の駅「道の駅 朝日」—— 複合施設「朝日みどりの里」(新潟県村上市)【動画あり】
新潟県村上市の旧朝日村、国道7号線沿いにある「道の駅 朝日」は、新潟県内4番目の「道の駅」として、1993年4月に登録された。
「道の駅 朝日」には、物産館、食堂、宿泊施設、温泉、プール施設などが隣接し、「道の駅 朝日」を含む複合施設「朝日みどりの里」として、国道7号線を利用するドライバーや観光客のみならず、地元住民が日常的に利用している。
「朝日みどりの里」の歴史や特徴などについて、同施設の指定管理者株式会社まほろば(新潟県村上市)の「道の駅 朝日」の松村朗駅長に話を聞いた。
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「道の駅 朝日」「まほろば温泉」を含む複合施設「朝日みどりの里」入口
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株式会社まほろば(新潟県村上市)の「道の駅 朝日」の松村朗駅長(画像提供 株式会社まほろば)
「ふるさと創生事業」1億円を活用した旧朝日村
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「道の駅 朝日」周辺施設の案内板
1986年4月、旧朝日村は「村おこし事業」として、物産館、食堂、資料館を備えた施設「みどりの里」を村の直営でオープンした。
当時バブル経済の中にあった日本政府は1988年から、1億円を市町村に一律に交付し地方公共団体が自ら主導する地域づくりを行う政策「ふるさと創生1億円事業」を実施。旧朝日村は、この事業を活用し、「みどりの里」において温泉掘削を行い、1993年7月に「まほろば温泉」をオープンした。
その後、「まほろば温泉」の湯を引いた温水プール「朝日きれい館」や、温泉付きコテージ「ほんわ館」をオープンさせるなど、一年を通して楽しめる複合施設として拡大していった。施設全体の敷地面積は4万9,778平方メートルと、「道の駅」を含む複合施設としては県内有数の広さを誇る。
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まほろば温泉内風呂(画像提供 株式会社まほろば)
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きれい館プール横浴槽(画像提供 株式会社まほろば)
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きれい館プール(画像提供 株式会社まほろば)
年間約40万人が訪れていたという「朝日みどりの里」は、コロナにより約34万に減少したという。しかし、新潟と山形とを結ぶ交通の要所として、また、地元住民が集う場として一定の利用客が訪れている。
松村朗駅長は、「温泉、プール、コテージなど、年齢を問わず色々な楽しみ方ができることが特徴です。ここは新潟県の端っこなので、同じ新潟県内の人でも来ていただくと『こんな場所にこんなところがあるなんて知らなかった』という人が多くいらっしゃいます」と話す。
地下1,300メートルから湧き出る柔らかいお湯が特徴の「まほろば温泉」は、熱めの湯が疲れたドライバーの体を温める。また、「朝日きれい館」は、温水プール、サウナ、トレーニングルームを備えており、地元の住民も多く利用する。
2022年8月に新潟県北地域を中心に襲った豪雨災害では、村上市が被災者に対して「まほろば温泉」を無料で開放した。「朝日みどりの里」は、災害対策拠点としての機能も担う重要な場所となっている。
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きれい館浴室(画像提供 株式会社まほろば)
県北の自然の恵みがずらり「農産物直売所」「物産館」
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農産物直売所
大自然に恵まれる旧朝日村。農産物直売所では、季節によって旬で新鮮な作物が並ぶ。農産物直売所には、約120件の地元農家が登録しており、通年を通しても常に60件ほどの農家が作物を届けているという。
また例年3月から5月のゴールデンウィークころにかけ、ほかの直売所では見ることができないほど多くの種類と量の「山菜」が並ぶ。その種類と量の豊富さゆえ、一般の人のみならず、飲食店の人が仕入れに訪れるという。
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農産物直売所に並ぶ商品
物産館では、村上市の特産品や伝統工芸品などを販売する。中でも特に人気が高いのは、「岩船米コシヒカリ」だ。新潟県内で特に人気が高い「岩船米コシヒカリ」だが、その中でも朝日地区で作られる米は、標高の高い場所に田んぼがある。水の良さも相まって、とても美味しい米と評判が高い。
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物産館で販売している地元産のコシヒカリ
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村上名産の「塩引鮭」
このほかにも、朝日地区のブランド豚「朝日豚」、村上市の特産品である鮭の加工品、岩船麩、地酒「大洋盛」(大洋酒造株式会社)と「〆張鶴」(宮尾酒造株式会社)などが並ぶ。
また、12月15日からは、「朝日みどりの里」でしか販売しない、「山ぶどうワイン」の販売がスタートした。村上市の秘境と言われる高根地区で育てられた山ぶどうを100パーセント使用したワインで、芳醇な味わいが人気だという。その年の収量に応じて販売本数が異なり、今期は2,000本を販売する予定だ。
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岩船麩
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地酒コーナー
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山ぶどうワイン(画像提供 株式会社まほろば)
今後ますます高まる「拠点性」への期待
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「道の駅 朝日」
「朝日みどりの里」から車で約3分の場所には、日本海沿岸東北自動車道(日東道)の「朝日まほろばIC」がある。現在は、ここから山形方面へは開通していないが、将来的には山形県の日東道「あつみ温泉IC」までの開通が計画されている。開通すれば山形県および東北地方全域へのアクセス性が高まることは間違いない。
村上市は、このような交通面の背景や可能性、施設の老朽化の状況などを踏まえ、「朝日みどりの里」の拡充基本計画を策定し、令和9年から10年にかけたリニューアル計画を打ち出している。
施設オープンから36年。豊かな自然の恵みを活かし、長年多くの人に親しまれてきた「朝日みどりの里」。今後の村上市の拡充基本計画や日東道の延伸により、県北の拠点としてより価値が高まることに期待が寄せられる。
(文・撮影 中林憲司)
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