【独自】アニメPに聴く「Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-」と「三条市」の関係と経緯、パートナー企業との出逢い
2022年10月より放送が開始された、新潟県三条市を舞台にしたオリジナルTVアニメ「Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-」(以下 アニメDIY)。家具などを自分の手で作ったり、修理したりする「DIY」を題材に、主人公である「結愛 せるふ」をはじめとする「DIY部」に所属する個性豊かな女子高生たちの「DIY」を通じた心の交流などを描くアニメ作品。
劇中で使用される工具は、アニメDIYのオフィシャルパートナーである「株式会社髙儀」(新潟県三条市)の協力のもと、緻密に描かれており、アニメを視聴したファンからも「かなり作り込まれた作品」や「作業工程、キャラクター、ストーリー、どれをとっても一級品!」など、高評価を得ている。
アニメDIYについて、プロデューサーである「エイベックス・ピクチャーズ株式会社」(東京都)の岩瀬智彦氏にアニメDIYの話はもちろん、オフィシャルパートナー企業である「株式会社髙儀」(新潟県三条市)についての話や、舞台である「三条市」などについて話を聞いた。
アニメDIYの企画が立ち上がった経緯
岩瀬氏は、「アニメDIYの原作者であるIMAGO先生と一緒に企画を立ち上げた。工具を持った女子高生ってコンセプトはいいよねというところから始まった。物作りの様子や、物作りをするための工具を、繊細な描写を得意とする日本のアニメーションにして、物語を創ったら、面白いものができるのではないかと思ったのが、企画の発端だった。アニメの話が出たのは、確か6年前くらいだったと思う。最初は、本当にご飯食べたりしながら話をしていた」と振り返った。
オフィシャルパートナーである「株式会社髙儀」との出逢い
「企画を考えている時は比較的順調に進んでいた。今回は女子高生も主役でありながら、工具も主役だと思って企画を進行していたので、工具はリアルに描きたいし、作業工程もきっちり描きたいと思っていたので、色々なところに取材に行った。その中で、色々とバックアップをしてくれて一緒に作れる体制のメーカーさんが仲間になってほしいと思っていた」と語る。
その後、アニメ製作陣は様々なメーカーに協力を要請したが、中々首を縦に振ってくれる企業は現れず、パートナー企業の捜索に難航していた。そんな中、幕張メッセ(千葉県)で開催されていた「JAPAN DIY HOMECENTER SHOW」にアニメ製作陣は足を運んだ。
このイベントで、アニメ製作陣は後のオフィシャルパートナー企業である「髙儀」と出逢うことになる。
「色々なメーカーさんが自社の製品をPRしていたが、ひと際大きなブースが展開されていた。ブースに立ち寄ると、自社の製品を実際に一般の人へ丁寧にPRしていると思った」と、髙儀への印象を語る。
続けて、「その様子を見て、『一般の顧客に対して力を入れてるメーカーさん』だなという印象を持ち、このメーカーさんなら、(アニメの企画を)理解してもらえるかもと思い、後日、アタックさせてもらった」と、当時の流れを話した。
そして、制作陣が話を持ち掛けると、「髙儀」側から「ぜひ、この作品のサポートをさせてほしい」という返答をもらった。
岩瀬氏は「髙儀」との出逢いについて、「かなり大事な要素だったので、髙儀さんと出逢っていなかったら、本当にここまできていたかわからない」と所感を述べた。
ファンから高評価を得ているアニメ劇中内の工具の描写について
「(劇中で使用された工具のモデルは)髙儀さんから提供していただいて、作画のスタッフ、デザインのスタッフ、そして音響のスタッフにも渡した。音響では、効果音も実際の工具を使って録音をしている。なので、作業シーンについては、結構リアリティを追求している」と話した。
三条市を舞台に決めた理由
「これはもう完全に髙儀さんが決め手だった。最初は漠然と『ものづくりをする地方都市』っていうぐらいしか決まってなかった」
岩瀬氏は曰く、他にも候補地は挙がっていたのだが、決め手がない状態だったという。
「髙儀さんにお会いして、三条市にも少しお邪魔させてもらって商談を行った。その時に、三条はすごく良い街だと紹介してもらった。僕も初めての滞在だったので、三条市を見学してみようかなと思った」
三条を周遊した岩瀬氏は「昔の町並みも残っていて、旧市街地の路地が残っていたり、お寺とか、自然の雰囲気も残っていた。川も流れていて、堤防があって、立派な商店街もあった。その様子を見て、女子高生が日常生活する町に向いているのではないかと感じた。それに加えて、『ものづくりのまち』というのもあり、最高だと思った」と話した。
岩瀬氏は「尚且つ」と区切り、言葉を続ける。
「それだけではなく、道具。やっぱり道具というのが、主役の1つだと考えているので、『もうこんな巡り合わせはないな』と思った」と感慨深そうに語る。
さらに岩瀬氏は、2021年に開校した「三条市立大学」の話に触れると、「これは後付けになってしまうけど、三条市立大学という最新の学校もできていると聞いた。僕らがロケハンに行ったときはまだ開校前だったが、そこもちょっと見学させてもらっていて、中には最新鋭の工業マシンがあり、教育の場としても最先端な状況になっていた。町工場もありながら、最先端の産業もリードしているというところで、まさに舞台にぴったりだと感じた」
そして、岩瀬氏は今になって振り返ると、「三条市はこれ以上ないくらいアニメDIYに適した場所」であると話していた。
三条市の印象
「いわゆる『観光地』という感じではなく、『産業』の町という印象。パッと見て、観光資源は少ないように感じるが、実は「ものづくり」をする過程を見る事ができたりとか、楽しむ事ができる」と三条市への所感を語る。
続けて、「僕が注目したのは『工場の祭典』。ああいう取り組みをしているのは、すごく面白いと感じる。企画の段階から、日本人の「ものづくり」に対する姿勢に興味関心がみたいなものは、作品でもやりたいと思っていたので、その『想い』と町が持っている『特性』がアニメに対してもぴったりだと思っている」と話した。
岩瀬氏は三条市ついて、「街並みを崩さずに、『想い』や『特性』が共存している場所」と語った。
三条市のアニメの『聖地化』について
「アニメーションは地域活性に貢献できると思っている。過去にも、聖地化をして大勢の観光客がアニメの舞台になった土地に訪れて、現地でアニメの世界を再び味わうという例はあった。特に、コロナ禍ではインバウンドもあり、それに加え、外国からの観光客が来たということもあった」と話した。
続けて、「企画段階からどこか『聖地化』できるような場所はないかとは考えていた。現地に行き、それをアニメに起こすと地元の人たちもすごく喜んでくれる。そうすると、街からの発信力も、プロデューサーとしては期待するところでもあるので、そういった形で街を盛り上げて、アニメも盛り上げていきたいと考えている」と岩瀬氏は三条市の『聖地化』に対しての想いを語った。
新潟県民へ向けて
岩瀬氏は、「今回、縁があって新潟県を舞台にしたアニメを作ることができた。なかなか、地元がアニメーションの舞台になるって、多いことではないと思う。僕は国内というよりも、『全世界』に向けて作品を作っていると思っているので、日本の魅力、新潟の魅力を感じてもらって、それを確かめに『世界中の人が新潟県に来るきっかけ』になればいいと思っているので、ぜひ応援よろしくお願いします!」と新潟県民に向けて応援を呼び掛けた。
(文・児玉賢太)
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