【妻有新聞】「住民の安全確保」協定書の周知を 30キロ圏UPZ議研 原発再稼働議論で関心浮上
2011年3月11日発生の東日本大地震による福島第1原発事故を契機に、新潟県に所在の「東京電力柏崎刈羽原発」に関わる通報連絡などを求め、翌年2012年に県内自治体で『市町村による原子力安全対策に関する研修会』を立ち上げ、原発事業者・東京電力と通報連絡義務を課した「協定書」を締結。翌年2013年には県内市町村が個々に東京電力と『原発に係る住民の安全確保に関する協定書』を締結し、前年の通報連絡協定は廃止している。
2013年締結の協定書は締結日の同年1月9日に報道発表している。締結から9年経過するなか、この協定書をUPZ(原発から30㌔圏)の自治体の関係議員で作る『柏崎刈羽原子力発電所30㎞圏内UPZ議員研究会』は改めて関心を寄せる。研究会長で市議5期の関三郎見附市議は「きわめて重要な協定書であり、我々研究会が求める原発再稼働の事前了解権に関係しており、この協定書の存在とその中身を地域に広める必要がある」と今後の同研究会活動に役立てる方針だ。
この2013年締結の『住民の安全確保に関する協定書』は自治体と個別に結んでいる。冒頭前文では「(自治体名・市町村民)の安全及び安心の確保を目的とし、次のとおり協定を締結する」と住民の安全安心の確保を主題に締結した協定書になっている。連絡会の設置から通報連絡、現地確認、損害の補償、協定の変更、協定の効力など全文7条。冒頭条文では「平常時における相互の連携を図るため、原子力発電所連絡会を設置」と明記し、定期的開催とし相互に意見を述べる場としている。
この住民の安全確保に関する協定書は、前年2012年締結の通報連絡協定にはなかった東京電力と自治体が直接面談する場の「連絡会」の設置を明記。特に2012年協定書は「事故・故障など発生時」としているが、2013年協定書は「平常時における相互連携」を前提に協定している。通報連絡の22項目はほぼ同じ内容になっているが、2013年協定書では「現地確認」を条文化し『住民の安全の確保のために必要があると認める場合は、発電所の現地を確認できる』と明記。さらに「損害の補償」で『発電所の運転保守に起因して住民に損害を与えた場合、誠意をもって補償する』としている。
30㌔圏UPZ議員研究会は2013年協定書の表題の重要性を話す。関会長は「原発に係る住民の安全確保に関すると、明確に記しており、住民の安全確保とは何か、ということだ。我々が求める原発再稼働の事前了解権は、住民・議会・首長が意思表示できる新たな安全協定の締結であり、この2013年協定書の延長線上にあるともいえる」と話している。
【妻有新聞 2022(令和4)年12月17日号】