新潟県燕市と弥彦村がメタバースで観光情報を発信、台湾からの誘客の強化狙う
新潟県燕市の鈴木力市長は27日に定例記者会見を開き、バーチャルプラットフォーム「GAIA TOWN」上に公開した燕市と弥彦村の観光関連ブースを紹介した。国のインバウンドに関する検証事業の一環であり、台湾からの誘客強化を狙う。
今回の事業は、北陸信越運輸局が実施する「DXを活用したインバウンド受入環境に関する検証実証」の一環で、燕市は隣接する弥彦村とともに実証地域に選定された。検証期間は12月7日から2月28日まで。バーチャル空間にて、台湾の一般旅行者や旅行関連事業者向けに情報を展示するほか、講演会などを行い、感染症禍におけるインバウンドの誘客強化策を検証する。
「GAIA TOWN」内に、2月28日まで「新潟県 燕市・弥彦村元宇宙世界」を開設。エリア内では、24時間常設で、燕市と弥彦村の観光に関する36のブースを設置する。観光協会や道の駅、レストランをはじめ、玉川堂や日本金属洋食器工業組合など、同市の特徴でもある産業と工場見学に関するブースも多い。並行し、燕市産業史料館と彌彦神社のVR映像で再現したエリアも設置している。
また会期内には、商談会(物産博)や講演会を開催。出展企業・団体が海外旅行業者と直接商談する機会や、地場産品と地域の魅力を発信する機会を設ける。
なお、上記は海外の旅行者と事業者向けに開設しているものの、「GAIA TOWN」をインストールしアカウントを取得することで国内からでもアクセス可能。市では、国内へのプロモーション効果も副次的に生まれることに期待する。
燕市の鈴木市長もバーチャル空間内のブースを探索。そして「感染症禍で落ち込んだ旅行者数を元に戻そうと、いきなり海外の人を受け入れるのはハードルが高い。こういったオンラインの形で、まずは知っていただくというのは誘導策として非常に有効。これを入り口に、燕と弥彦の魅力を感じて『行こう』という気持ちに繋がれば」と語る。また台湾市場について「台湾は日本への旅行者が多く、また新型コロナウイルスの押さえ込みにも成功しているため、早期に海外渡航や交流が再開できる」期待があると話した。
彌彦神社などを擁する弥彦村は観光地として広く有名だが、燕市は工場見学などのややニッチな観光需要もあり、インバウンドでもコアなファンを獲得している。今回の事業で、どのような層を獲得できるか注目したい。