新潟経済同友会が新潟市の中原市長へ、万代の緑化や古町の国際化を盛り込んだ提言書を提出

株式会社新潟クボタ代表取締役社長の吉田至夫代表幹事(中央左)と新潟市の中原八一市長(中央右)

新潟県内経営者などで構成される新潟経済同友会は31日、新潟市の中原八一市長へ新潟都心のさらなる活性化へ向けた提言書を提出した。提言の内容は主に万代地区の緑化や、古町での留学生起業支援、スーパーシティの実現に関するもので、新型コロナウイルスによる影響による地方分散の受け皿としてのまちづくりを目指すものだ。

提言の内容は、万代エリアと古町エリア、そしてITを活用した都心部の「スーパーシティ」化の促進の3点。

万代は現状、自動車への依存が高い一方で歩行者が減少傾向にあり、それに比例して平面駐車場のような低未利用地が多く、市街化区域の緑比率が1割程度と非常に低い。こうした点から経済同友会は、都心部の緑化を通した町の景観改善や快適な都市空間の実現を提案した。

特に、万代の旧運輸局跡地は約7,000平方メートルの敷地が現状駐車場としてしか利用されておらず、解体や土地利用の計画も進んでいないことから、土地を市が借り受け、信濃川ややすらぎ堤と一体となった「市民の森」のような場所を造ることなどが提言書に盛り込まれている。

万代旧国交相ビル周辺

古町

一方、これまで観光エリアとして取り扱われることの多かった古町に関しては今回、駐日外国人による起業・出店により、経済活性や国際的なアピールへ繋げていくのはどうか、という内容が提案された。具体的には、「柾谷小路」の旧三越跡地、NEXT21、西堀ローサなど、空きの目立つエリアでの税制優遇などを通して、まずは外国人留学生、コロナ後は成長の著しい東南アジアからの起業家受け入れを目指す。

こうした提案の背景には、新潟島・万代島に露・中・韓の領事館が存在していることや、北東アジアからの観光客とこれまでの交流の多さ、そして以前から「湊町」として文化交流がまちづくりのテーマの1つとして掲げられてきたということがある。

3点目の提案が、AIやビッグデータを用いたスーパーシティ化の促進だ。現在新潟駅周辺ではIT拠点施設「NINNO」やスタートアップ拠点「SN@P」などが存在し、県でも起業・創業やIT起業誘致には積極的だ。経済同友会は、こうした活動の連携と市民サービスへの反映などを進め、県内外から利便性への信頼と認知を高めることを提言した。

以上のような提案を踏まえたまちづくりを通じ、新潟をアフターコロナ世界で地方分散の受け皿となっていくことを目指したいという。また、日本海側唯一の政令都市であることや、高い食料自給率などの点から、首都圏のバックアップとしての役割が期待でき、アフターコロナの分散型で持続可能な地域の構成という面でもアピールしていきたい考えだ。

経済同友会と中原市長の対談は非公開となったが、取材を受けた吉田至夫代表幹事によると、新型コロナウイルスへの対応が急務となっている現在は本格的に取り組むことが出来ないが、「にいがた2km」をはじめとするまちづくり計画と今回の提言は同じ方向性にあるとし、前向きな反応であったという。新型コロナの影響により地方への意識が変化しているが、同時に新潟市は新潟駅をはじめとして栗ノ木バイパスや古町周辺など物理的にも変化している。人の価値観もまちの構造も変わっていく今、既存の構造を変革する力が問われるのかもしれない。

 

【関連リンク】
新潟経済同友会webサイト (提案書の内容が公開)

 

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