コジマタケヒロのアルビ日記2022 Vo.21「それぞれのストーリー、それぞれのドラマ」
W杯も終了し、日本のサッカー界は選手の契約更新中心の季節となっている。来季、J1での新しい挑戦を行う、アルビレックス新潟もほかのチーム同様。多くのサポーターたちの中には、連日、推し選手の更新があるか否かにヤキモキしている人も少なくないはずだ。
もちろん、僕もそんな一喜一憂組のひとり。
胸が熱くなったのは、12月14日。
藤枝MYFCへの期限付き移籍が発表された矢村健選手。
「新潟の熱きサポーターの皆様。このたび、藤枝 MYFCに期限付き移籍することになりました。新潟医療福祉大学時代から7年間、新潟にはお世話になりました。アルビレックス新潟をはじめ、街並みまですべてが好きでした。それと同時に、選手として居心地の良さに甘えてはいけない、試合に出て点を取りたいという想いが強くなり、このたびの決断にいたりました。今後、この選択が自分にとって正解だったと心底から思えるよう、必ず成長します。J1 の舞台で、アルビレックス新潟の超最高なサッカーが観られるのを楽しみにしてます」
何度か矢村選手にインタビューを行ったことがある。
言葉数は決して多い方ではないが、自分の言葉を持っていて、強い想いを感じさせる人。
そんな彼がシーズン終盤ごろ、「試合にコンスタントに出られていないし、チャンスをもらった試合で結果を出せていない。今季の自分に得点をつけるとすれば(100点満点中)10点です」。
厳しい表情でこう話してくれたのが、期限付き移籍のニュースを目にしてすぐに頭によぎった。
僕の中でも矢村健選手は、試合に出たら何かしてくれる、というイメージの選手。
第15節・東京V戦(H /○4-3)の88分。引き分けムード漂う中で魅せた、左足の光芒一閃。勝利を引き戻したスーパーゴールだった。
今季決めたゴールは、この1ゴールのみ。
だからこその期限付き移籍。
それがプロの世界。
それぞれの選手にストーリーがあり、それぞれのチームにドラマがある。
まだ契約更新の期間中。新規加入含め、選手の出入りはあるかもしれない。
来季、アルビレックス新潟のドラマを描くのは、どんな選手たちになるのか。
この時期ならではの醍醐味をもう少し楽しみたい。
◎アルビライター コジマタケヒロ
練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート