【妻有新聞】「明石の湯」(新潟県十日町市)来年3月閉館(上) モネ美術館を芸術祭拠点化、市民から疑義も

来年3月で閉館方針が出された「明石の湯」(8日)

モネ美術館を芸術祭拠点化、市民から疑義も

新潟県十日町市の市街地エリアでは唯一の温泉として親しまれている越後妻有交流館キナーレ1階の『明石の湯』は、大地の芸術祭のメイン施設である越後妻有里山現代美術館MonET(モネ)の拠点化を進めるため、来年3月で閉館することが8日の市議会産建常任委員会で明らかになった。市は「大地の芸術祭のさらなる魅力づくりと集客力アップをはかりたい」(産業観光部長)と閉館を説明。一方、市民からは「あまりにも突然。芸術祭は芸術祭、市民の憩いの場も必要だ」などの声が上がっている。

「明石の湯」は、建築家・原広司氏設計のモダンな日帰り温泉施設。きもの柄からネーミングされた。大地の芸術祭拠点施設キナーレ内にあり、市民利用のほか芸術祭来訪者や県外からの営業マンなどが利用し、今期の大地の芸術祭でも来訪者に好評で、市街地の市民からは「銭湯感覚で気軽に行ける憩いの場」になっている。

明石の湯の「来年3月閉館方針」は8日、産経委員会で市が説明し、芸術祭拠点施設のモネをさらに充実させ、大地の芸術祭の中心的な拠点化をはかる方針。計画では温泉施設跡を芸術作品の展示スペースに改修し、新たに1430平方㍍のアート作品面積を確保。これにより作品展示スペースはこれまでのモネ2階展示場の約2倍の広さになる予定で、常設展のほか企画展など計画するとしている。

市議会で説明した市観光交流課長は「次の2024年大地の芸術祭の開催に向けモネの強化を図りたい。注目度の高い国内外作家の常設作品を設置し、新たに生まれ変わる施設にしたい」と説明している。市では明石の湯閉館に対応し、近隣の川西「千年の湯」や中里「ミオン」などへの送迎バス運行を予定、今後アンケート調査を行うとしている。また職員8人、パート4人など従業員は「系列の温泉施設やクロステンの職員として採用してもらうなど対応したい」としている。改修費は事業費約1億5千万円を見込み、地方創生拠点整備交付金や一般補助施設整備事業債で導入、市の負担は約4千万円程度を見込んでいる。

明石の湯は市の指定管理施設で、運営は財団法人十日町地域地場産業振興センター・クロステン。委託費は年約3900万円。温浴施設は大浴場と生薬湯・寝湯・スチームサウナがあり、仮眠室やアメニティー施設もあり原広司氏設計のモダンでスタイリッシュで広い浴室が好評。2003年7月にオープンし、12年度約13万5千人の入湯客があり、20年間で約223万人が訪れている。しかし新型コロナの影響で昨年度は約7万4千人に減少し、2019年度から、赤字経営になっている。

妻有新聞 2022(令和4)年12月10日号】

 

下:「明石の湯」(新潟県十日町市)来年3月閉館(下) 波紋呼ぶ「明石の湯閉館」市民反響さまざま(2022年12月30日)

 

 

 

 

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