【独占】ジープ島開島者・吉田宏司氏(新潟県上越市出身)の現地リポート「3年ぶりに第2の故郷に」

ジープ島全景

2022年11月13日、雨の降る上越妙高駅から東京を経由して成田空港に向かう。東京駅で成田エクスプレスに乗り換えると車内はガラガラであった。1時間程で空港に到着し、エスカレーターに乗り、4階の出発ロビーに行くと、かなりの人でごった返していた。ほとんどが外国人である。昼食を済ませ椅子に腰かけて目の前を通り過ぎる人たちを見ていると、欧米人や東南アジアの人々が次から次と行き交い、まるで外国にいるような雰囲気にさせられた。

夕方6時のユナイテッド空港に乗り込み、3時間半でグアムに到着。そこには、マスクをしている人としていない人がいて、首をかしげつつ、無事にグアムに入国。その後、仮眠をとる為、グランドプラザホテルに向かう。女性ドライバーのタクシーに乗り込み、「日本人は来ていますか?」と尋ねると、全くいないと言われた。

ホテル到着後、夜中の11時にビールを買いに出かけると、行きも帰りも全く人気がなく、ハイアットホテルの前だというのに、人どころか犬1匹歩いていなかった。こんなグアムは初めてであった。

ホテルで仮眠をとり朝6時にグアム空港へ向かう。よく晴れた気持ちの良い朝焼けの中、空港内のバーガーキングで久しぶりにハンバーガーを食べる。

ジープ島の様子

サンゴ礁に囲まれたジープ島

朝8時のフライトでチュークに向かう。機内ではたいへんお粗末なフルーツとクッキーの朝食が出て、1時間30分程すると、窓からトラック環礁の島々が見え始める。3年ぶりに帰れたという思いで気持ちが高揚する。飛行機は、どんどん高度を下げトラック環礁に入る。デュブロン島が見え、やがて本当のモエン島が見え始めて、海面スレスレに飛行しながら着陸。エコノミークラスからビジネスクラスを抜け、ドアに差しかかった瞬間、赤道直下の南の島の熱い空気が一気に入り込み、再び島に戻った事を実感する。無事に入国し、ホテルの車に乗り込む。

街中を抜け、車は海岸線を走り、30分ほどで懐かしいブルーラグーンリゾートの風景が目の前に飛び込んでくる。島の最南端で、3面が海に囲まれている2階建てのゆったりしたホテルである。

車を降りてロビーに入ると、フロントでハナエが働いていた。私の顔を見ると嬉しそうに私の脇のソファに腰かけ、久しぶりだねと流暢な日本語で話しかけてきた。ハナエは3歳の時から、ジープ島に住んでいたことがある。

それから部屋に入り、マスクやフィンの準備をして昼食を買ってジープ島に向かう。晴天で少し風がある中、スモールボートでデュブロン島を過ぎ、エッテン島にかかると、水平線のかなたにポツンと小さな島が見え始める。たいへん小さな島なので、走っても、走っても中々大きくならない。やがて、20分程して、ようやく島がちかくなる。3年ぶりのジープ島である。久しぶりにまっ青な海と島を目の当たりにして感動し、やっと戻れたかと胸を撫でおろす。ボートで島のハウスリーフを一周して上陸する。歩き始めるとすぐに犬のジープが寄って来て、遠くからリぺルの明るい笑顔が飛び込んで来る。

犬のジープ

早速、椅子に座り、ランチを食べながら、いろんな話をする。ホテルのフライドチキンとクラブハウスサンドイッチをほおばっていると、どういう訳か3年間の空白がどんどん縮まり、ジープ島生活の感覚が蘇ってくるのがわかる。

犬のジープは、体の後ろ半分の毛が抜けてライオンのようになっている。一時も私の傍から離れない。また、食事をしていると、何度もスズメ程の大きさのミクロネシアンミツスイが目の前まで飛んで来てはホバーリングしていた。犬も鳥も喜んでいるのだろうか?

ミクロネシアンミツスイ

しばらくしてから、マスクとフィンを付け、シュノーケリングを行う。この日は日焼けとシュノーケリングで疲れ果て、死んだように寝た。

翌朝6時に目がさめ、バルコニーに出て海を眺める。昨日よりやや風が強そうである。9時にダイビングショップに行き沈船の富士川丸を目指す。透明度は良く、船のやぐらや船首がしっかりと見え、船首ではギンガメアジの大きな群れにバラクーダが入り込み、その周りにはウメイロモドキが舞い、ときおり、ツムブリの群れが通り過ぎて行った。ダイビングの後、再びジープ島に上陸してランチを食べる。

何といっても海がきれいだ

16日水曜、今日は朝から雨で海へ出られそうもなかったので、ホテルのフロントにいる18歳のハナエと17歳のジェフィとお菓子を食べながら午前中を過ごし、午後からホテルの周りを散策し、子犬と猫と遊ぶ。

17日木曜、今日は晴れたので、沈船の神国丸に出かける。夜は、ブルーラグーンリゾートのオーナーであり、私の親友であるアッピンとのデイナーとなり、シェフに特製ビーフシチューを作って貰い、ビールとウイスキーを飲みながら再会を祝い、たらふく食べる。酒精を浴びながら話は弾み、南国の夜は耽けていった。

18日金曜、この日は晴天で少し風が強かったが、スモールボートで東のパス近くのサンドパラダイスに出かける。途中すれ違うボートもなく、唯ひたすら東を目指してボートは疾走する。一旦ビーチがある環礁の脇まで行き、そこから環礁沿いにサンドパラダイスを目指す。近くに来るとメタリックブルーのまっ青な海が見事に広がっていた。

19日土曜、朝から大雨だったので、ホテルの中で過ごす。夕食後、仮眠して深夜12時にホテルを出発。午前3時のフライトでグアムに向かう。そして、朝6時のフライトに乗り継ぎ、帰国の途に着く。

イルカも見られる

コロナ渦の中の8日間の私の旅は終わった。現地では、誰もマスクをしていなかったので帰国し、私は不思議な感覚を覚えた。

東京からの帰りの新幹線の中でウトウトしながら充実した疲れの中、ジープ島の海の事を思い浮かべ、また車窓からの山々を見ながら、この3年間で通い詰めた妙高山麓での事を思い浮かべていた。

すると、ふと小学4年生の夏休みのことが思い出されてきた。9歳の時の夏休みは、ただひたすらタモと虫カゴを持って、毎日金谷山に出かけていた。山の赤土の上を転げ周りながら、オニヤンマやカラスアゲハチョウやカブトムシやクワガタを無我夢中で追いかけていた。

その頃は、絶望も後悔も知らず、ただひたすらのびのびと遊んでいた。日本国は、まだ貧しく、決してぜいたくな時代ではなかったが、自然の中で常に、新たな発見と驚きと感動があった。そして、山は山らしく多くの緑をたたえ、川は川らしく多くの魚たちが生息していた。同時に、そこには常に等身大の私があった。

そして、66歳になったが、私はいまだに同じ事をしていると気づかされた。

「自然は、本当の自分を写し出す鏡である」と。

吉田宏司氏

 

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