16日からmaison de たびのそら屋で企画展(新潟県長岡市)、オンラインでは味わえない「リアル」感じて
新型ウィルス禍により、昨今、御来場で美術品、芸術作品などを鑑賞することができるオンラインビューイングやバーチャルツアーも増えてきた。
そのような中、あくまでリアルでの鑑賞にこだわり、企画展示を行っているギャラリーも数多い。「喫茶併設ギャラリーmaison de たびのそら屋」(新潟県長岡市呉服町2、久保田さ和オーナー)も、そのようなギャラリーのうちのひとつである。同ギャラリーでは、2023年最初の企画展「On Your Mark」が16日から、開催されている。
同企画展では、小松啓美氏(茨城県)、櫻井あすみ氏(千葉県)、財田翔悟氏(長岡市)、ルーカス・レドンド・ボネット氏(韓国)の4名の作家による作品が展示されている。4名の作家は、過去に実際にあった作家の中で、久保田オーナー自らが、展示のテーマにぴったりだと思う作風の作家を選んだという。
展示名「On Your Mark」は、邦訳で「位置について」という意味である。久保田オーナー(51歳)によれば、徒競走で、まさに選手達がスタート位置につくような、そのようなイメージだという。そこには、「新年の活動を、これから始めていこう!」という意味や「(新型ウィルス禍などの影響で)いろいろ閉塞感があるなかで、もう始めて行きましょう」という久保田オーナー自身の想いが込められている。
ウィルス禍のなかで、オンライン会議などが普及し、人に会わなくても用が足りてしまうことが増えてきた昨今でも、「作家さんたちはリアルな実感を大切にしている」と、久保田オーナーは語る。「一見ファンタジックに見えるような作風のものでも、描いた作家さんの話を聞いてみると、実は(作家さんにとって)リアルな現実を描いているのだということがわかる。それぞれの現実って、実際に、(作家)本人から直接話を聞いてみないとわからない」という。「是非、展示された空間で、(作家がした)直接的な経験を見て欲しい。作家との出会いを直接して欲しい」と、語った。
今回の企画展に展示している作家の一人である小松啓美(ひろみ)さん(66歳)は神奈川県出身で、現在茨城県在住だが、新潟県内では初めて展示をしたという。
小松さんによれば、実は両親は、新潟県の出身(父親:新潟県長岡市出身、母親:新潟県塩沢市出身)であるという。幼少の頃には、新潟の雪国で過ごした思い出もある。「いままでいろいろなところで個展をしてきたが、ここのギャラリーほど、作家さんのことをみていてくれるところはないんじゃないか」と小松さんは話す。「作家にとって、ギャラリーのオーナーさんが一番の鑑賞者。その方が一番しっかり見てくれるということは、作家として一番うれしいし、安心できる」と語った。
同展示を鑑賞し、喫茶室でコーヒーを飲んでいた新潟県長岡市内在住「やよちゃん」さんは、昨年12月21日に初めて訪問して以来、同ギャラリーに来るのは今回で2回目であるとのこと。「ここに来ると、新鮮な気持ちになることができて、すごく気持ちが良い。毎回、新たなスタートがきられる(気持ちがする)。コーヒーをいただけるのも愉しみ。オーナーさんや作家さんにお会いするのも愉しみ」と語った。
実際に作家と出会い、その作家と語り、作家たちの世界観を知ることは、リアルでの作品を鑑賞する以外には、味わえない醍醐味となるだろう。
展示は、20日、25日を除く29日まで行われる。同ギャラリーでは、今後も8月、2月、3月を除く各月ごとに、1~2回の展示を企画していくという。
(文・撮影 湯本泰隆)