【独自コラム】「生命のありがたみを知った」新潟県上越市で発生した鳥インフルエンザ対応で防疫業務に従事した作業者に聞く

上越市の養鶏場での防疫措置の様子(提供:新潟県)

13日に新潟県上越市で遺伝子検査によって高病原性鳥インフルエンザの陽性が確認された問題。15日に10万3,887羽(速報値)の殺処分が終了したが、今回、その作業に直接携わった人へインタビューすることができた。

Aさんは、13日の夜間の時間帯に作業したという。場所は上越市柿崎区で、柿崎ドームが今回の業務を行うための拠点になっていた。マイクロバス2台くらいで、40人くらいが鶏舎に向かったいたという。

この日は、新潟県からの依頼要請で、県の職員はもちろん、上越市、妙高市、糸魚川市、柏崎市、JA越後上越の職員などが作業していた。ドーム内では、物資仕分けをする職員や保健師などが内勤業務をこなしていたという。

Aさんは、処分された鳥が入った密閉した専用の容器をフォークリフトに乗せる作業がメインで、鳥はガスを用いて処分されていたという。

「作業前後の健康観察は万全を期していました。例えば、作業前に測定した結果、血圧の高い人は作業に入れなかったようですね。防護服は二重に着用し、さらにテープで袖口や足元も止めるし、1回度防護服を着用来てしまうと現実的にはトイレにも行けない。休憩時間もあったが、飲み物も飲めないし、携帯電話も現場には持っていけない。4時間でしたが、身体よりもメンタル的にきつかったです」(Aさん)。

また、Aさんは「私はほとんど生きている状態の鳥自体を見てない。逆に作業の終盤に備品搬入の用務でまだ手つかずの作業小屋に行く機会があり、そこでは普通に生きている鳥がいた。普通に卵を産んでいる。それを見ているとつらかった」とも語った。国などの規定で、鳥インフルエンザに罹っていなくとも、その場所での全ての鳥を処分することが決まっているためだ。

Aさんは最後に「そういった生命のありがたみを知った上で、生活していかなくちゃいけないと思いました。人間も感染禍の中で生活を送っていることを考えてるとなおのこと、他人事としてとらえてはいけないことですね」と語った。

新潟県などの行政には、上越地域の安全とともに、対象となった業者の補償問題などをクリアしてもらいたいところだ。

上越市の養鶏場での防疫措置の様子(提供:新潟県)

上越市の養鶏場での防疫措置の様子(提供:新潟県)

上越市の養鶏場での防疫措置の様子(提供:新潟県)

 

 

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