島内外の事業者が交ざりあい「共創」を促す場 新潟県佐渡市が「SADOサミット2023!」を開催【動画あり】
新潟県佐渡市は20日、あいぽーと佐渡(新潟県佐渡市)において、佐渡島内外の事業者が集まり事業紹介や討論を行う「SADOサミット2023!」を開催した。
佐渡市が取り組んでいる雇用機会拡充事業におけるフォローアップ支援の一環で、佐渡島内の既存事業者や島外からの進出事業者との新たな交流や連携などを促すことを目的に開催したもの。イベントには約80人が来場。オープニングセレモニーでは佐渡の伝統芸能「春駒(はりごま)」が演舞され「SADOサミット2023!」が幕を開けた。
第1部では、古町芸妓のあおいさんが基調講演を行い、芸妓としての歩みや独立したときのエピソードなどを披露した。講演の中で、あおいさんは、「新しいことには必ず反発がある。誰かがブルドーザーのようにならないと厳しいが、逆にチャレンジができる時代になってきた。お姉さん方が守ってきた古町芸妓というものを、少しでも明るく良い形で残していきたいと思う。だから頑張れる」と、自身の活動への想いを語った。
第2部では、雇用機会拡充事業補助金を活用して、佐渡島内各地域で活動する事業者5人がそれぞれの事業や活動を紹介した。
登壇したのは、虫崎地区で飲食事業を行うメレパレカイコ(新潟県佐渡市)の舘恭志(たちやすし)代表、相川地区でまちづくり事業を行うLane株式会社(新潟県佐渡市)の雨宮隆三(あめみやりゅうぞう)代表取締役、両津地区でコーヒーショップ「maSanicoffee」を経営する有限会社兵庫工務店(新潟県佐渡市)の中村恵美(えみ)オーナー、新穂地区で米づくりやお祭関連事業を行うさどやニッポン株式会社(新潟県佐渡市)の相田忠明(ただあき)代表取締役、小木地区で飲食業や宿事業を行う十千万(とちまん)の田中藍(あい)代表。
5人は活動の中でのエピソードを交えながら、各地域の情報や課題などを共有した。
つづく第3部では、新潟ベンチャーキャピタル株式会社(新潟市中央区)の永瀬俊彦代表取締役が進行役となり、約1時間の討論会を行った。
討論会は、第二部登壇者5人に加え、佐渡汽船株式会社(新潟県佐渡市)の尾渡英生代表取締役、トキエア株式会社(新潟市中央区)の長谷川政樹代表取締役、株式会社よね蔵(新潟県燕市)の山田美江子代表取締役など島外事業者7人が参加し、用意された討論テーマについて意見交換をおこなった。
また、会場内で飲食ブースを出店した事業者や、会場に足を運んだ一般参加者にもマイクが向けられて、討論に加わる場面もあった。一般参加者からは、佐渡への移住者が増えていること、一方で佐渡の伝統文化の担い手が少なくなっていることなど、佐渡島内での現状や課題が共有された。
討論テーマのひとつ「これからの未来について」では、メレパレカイコの舘代表が、「今日皆さんの話を伺うと、いろいろな地域でそれぞれが盛り上がっている。地域が単独で盛り上がるのではなくて、これからは地域間で連携していけたらいい。そうすると佐渡島内全てが盛り上がっていくのではないか。競争するのではなく、共に創る『共創』を増やしていきたい」と話した。
「SADOサミット2023!」終了後のインタビューで、佐渡汽船の尾渡代表は、「今回はかなり勇気づけられた。今まで私たちは人口減少などネガティブな情報が入ってきていたので、何とかしないと思っていた。しかし実際に話を聞いてみると、たくさんの方々が佐渡に移住したり、起業したりしているので、心強く思った。この波を大きなうねりに変えていかなければいけない。そこに我々が貢献できたらと思う」と話した。
また、トキエアの長谷川代表は、「佐渡にはこんなにたくさん凄い人がいるとは知らずびっくりした。とてもありがたい場だった。今後、何か連携していけることがあればいいと思う」と話した。
「SADOサミット2023!」の企画運営を行った新潟ベンチャーキャピタルの永瀬代表は、「佐渡にはポイントになる人が結構いる。今日登壇した5人はまさにそう。しかし、佐渡を回ってみると地域間での連携が無く、それを実現させたいと思って企画した。今後も継続し、その中から新しいビジネスが繋がっていって、佐渡市一丸となって盛り上げていく場になればいいと思う」と語った。
今後佐渡市は、事業委託先の第四北越リサーチ&コンサルティング株式会社(新潟市中央区)と、新潟ベンチャーキャピタルなどの協力のもと、雇用機会拡充事業におけるフォローアップ支援を継続していくという。
(文・撮影 中林憲司)