「新潟県独自の“エコシステム”を創る」 横の繋がりを起業パワーに変えて 新潟県長岡市で起業女子カフェ交流会が初開催
花角英世新潟県知事は、自身の政策の指針のひとつとして、「選ばれる新潟」を掲げ、ワーク・ライフ・バランスの一層の充実や、官民を挙げた起業・創業の後押しなどにも力を注いでいる。新潟県では、その一環として、公益財団法人にいがた産業創造機構(NICO、新潟市中央区万代島5 花角英世理事長)とともに、女性の起業家支援の事業を進めている。
22日、新潟県長岡市にあるアオーレ長岡(新潟県長岡市大手通1)では、新潟県内の起業創業に関心がある女性や、既に起業している女性経営者などの交流を目的として、企業女子カフェ交流会が行われた。
冒頭では、上越地域、長岡地域、新潟地域の3つの地域から、6人の先輩起業家たちが、自身の起業に至るまでの想いや苦労話などをそれぞれプレゼン、時々笑いを交えながらユニークなビジネスアイディアなどを披露した。
新潟県長岡市でONRIというエステサロンを主宰している近藤奈月さんは、大学卒業後、テレビ局や旅行会社、保育園、免許センターなど様々な職場を経験したが、7年前に、自分自身のサロンを開業した。新規顧客の獲得など苦労する中で、「お客様に寄り添うサービス」の必要性を痛感したという。
また、新潟県小千谷市で株式会社農プロデュースを経営している新谷梨恵子さんは、早くから「さつまいもで起業」することが夢だった。その一方で、前例がないことをするという不安もあったという。自身が非農家出身で、農業法人で働いた経験を生かせないかなど、一度経験やスキルを棚卸し、現在では、「さつまいも農カフェきらら」「農家の営業代理店」「6次産業化プランナー」など、5つの事業を展開している。悩むのではなく、脳みそが汗かくくらい考えることが必要と説く。
プレゼンのあとは、支援者の紹介や、地域グループごと、参加者同士での交流の時間が与えられ、参加者はそれぞれの横のつながりや結びつきを強めた。
今回、催しに参加した櫻井智子(40代)さんは、普段は新潟県魚沼市にある大栄産業株式会社(新潟県魚沼市十日町 櫻井馨代表取締役社長)で課長職にある。今回、「まだ起業するかどうかはわからない」としつつも、「建設業界の抱える課題が多くある中で、業界全体の問題を解決できるような事業を考えている」という。「今回、女性起業家の方の今に至るまでの細かい経歴を聞けた。行動力や大変なところも聞けた。勇気づけられたし、ためになった」と語った。
「(今回の催しの)狙いは、新潟県独自の“エコシステム”を作ること」と語るのはNICOの産業創造グループ起業・創業支援チームのマネージャー・小柳康史さん(53歳)である。小柳マネージャーは、「起業家を目指す女性達のつながりはもちろん、すでに独立した先輩起業家が後輩起業家達を育て、その後輩起業家たちがさらに次の世代の起業家達を育てていくことが必要。女性を含めて新潟県全体の起業家層の増加に繋がっていけば」と語った。
今回の催しには、新潟県内各地から55名の参加があり、そのうち7割近くが30代から40代だったという。「こんなにも起業を考えている方が多いんだなあ」と、小柳マネージャーは改めて驚いていた。
(文・撮影 湯本泰隆)