新潟県内の休廃業・解散企業件数、2022年は2年ぶりに増加

休廃業・解散、倒産件数 年次推移(東京商工リサーチ 報道資料より)

株式会社東京商工リサーチ新潟支店が23日に発表した、新潟県内で2022年1月から12月に休廃業・解散した企業の動向についての調査結果によると、休廃業・解散した企業の件数は、2年ぶりに増加していた。2021年は各種コロナ支援で企業の市場からの退出が抑制されたが、支援策の縮小の影響が表れた結果となった。

調査によると、2022年に新潟県で休廃業・解散した企業は741件で、前年の716件から25件増加し、2年振りの増加に転じた。2000年に調査を開始以降、2018年の1,030件、2017年の911件、2016年の838件、2015年773件に次いで5番目の多さとなった。2022年の企業倒産は前年の47件から77件に増加し、5年振りの増加に転じている。

産業別では、飲食業や宿泊業、非営利的団体などを含むサービス業他の204件(前年比6.3%増)、建設業178件(同2.9%増)、小売業118件(同13.5%増)の順となった。

業歴別の構成比において、最多は30年以上40年未満の20.4%だった。次いで、50年以上100年未満の18.4%、10年以上20年未満の16.4%の順となった。

代表者年齢別(判明分)では、70代が最も多く45.9%だった。次いで、80代以上の21.9%、60代の20.1%と続き、60代以上が全体の87.9%を占め、代表者の高齢化が進む背景を反映した。

市区郡別で最も多かったのは新潟市の265件(前年比3件増)、長岡市の99件(前年比14件減)、上越市の43件(前年比17件減)の順となった。増加数が最も多かった市区郡は佐渡市の前年比14件増、減少数では上越市の17件減が最大となった。

休廃業・解散する直前期の決算では、2022年は黒字が54.7%、赤字が45.3%で黒字企業が過半数を占めた。2021年では赤字が52.4%を占めていた。2022年は黒字割合が増加したものの、全体の休廃業・解散企業は前年比で増加しており、コロナ禍の経営環境の激変に加え、後継者不在など様々な要因が休廃業・解散の決断を促した可能性が考えられる。

休廃業・解散企業 市区郡別(東京商工リサーチ 報道資料より)

全国集計では、2022の休廃業・解散企業は、4万9,625件(前年比11.8%増)で2年ぶりに増加した。2000年に調査を開始以降、2020年の4万9,698件にほぼ並ぶ、過去2番目の高水準となった。2022年は企業倒産も3年ぶりに増加に転じている。このため、コロナ関連支援策の希薄化と同時に、先行きの見通しが厳しい場合、市場退出を決断する経営者が増えている。

コロナ禍での政府や自治体、金融機関の手厚い資金繰り支援が奏功し、2021年は休廃業・解散、倒産はそろって前年を大幅に下回った。なかでも持続化給付金や雇用調整助成金など「給付型」支援は一時的な資金繰り改善だけでなく、コロナ禍で事業環境が激変するなかで債務に類しないキャッシュインとして資金繰り緩和に大きな効果をみせた。ただ、その一方で事業継続の判断の先送りにも繋がり、2021年に休廃業・解散が減少した一因となった。

東京商工リサーチ新潟支店は今回の結果から「コロナ禍で緊急避難的な措置が求められた事情はあるが、中長期的な事業価値の向上に向けた取り組みを描かないまま、資金繰り支援に依存して時間が経過した企業も少なくない。政府はコロナ支援の出口戦略として、10日からゼロ・ゼロ融資などの返済負担の軽減のため、新たな信用保証制度の『コロナ借換保証』を開始した。金融機関と対話して『経営行動計画書』を作成し、継続的な伴走支援を受けることを条件に借入時の信用保証料を引き下げることが出来る。こうした施策は単なる『返済先送り』でなく、次のステップに向けた取り組みにすべきだろう。休廃業・解散は地方ほど地域経済への影響が避けられない。経営者年齢が上昇するなか、ステークホルダーと一体となり、事業再構築や事業承継などそれぞれの企業に適した未来を選択できる継続支援が求められる」とコメントしている。

 

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