【独自】スポーツで地域資源の活用、賑わいを創出 総合型スポーツクラブのクラブマネージャー・石黒恵美子さん

寺泊発の「浜大漁」に熱中する人々(石黒恵美子さん提供)

子供から高齢者まで、多様な人がスポーツを楽しめる総合型地域スポーツクラブが全国的に展開されている。このような地域スポーツクラブの多くは、その土地の地域住民により自主的・主体的に運営されている。現在、新潟県には35の総合型スポーツクラブがあるが、そのうちのひとつ、寺泊総合型スポーツクラブ「てらスポ!」(事務局:新潟県長岡市寺泊烏帽子平・長岡市役所寺泊支所内 三上徹人会長)で、クラブマネージャーとして働いているのが石黒恵美子さん(58歳)である。

「てらスポ!」は、2014年に設立されたスポーツクラブで、寺泊地域内に限らず、近隣の和島・与板・出雲崎をはじめとする地域で、スポーツなどを通し、健康づくりの場を提供している。「けん玉」や「ピンポン倶楽部」などの通年教室や、「ナイター野球教室」などの季節教室、フィットネスクラブを運営する。

また、「応援ゴルフコンペ」や「ビアパーティー」のような海などの地域資源を活かした事業の開催、「運動教室講師派遣」などの学校サポート、その他「Loveビーチ」「健康とスポーツの祭典」といったスポーツイベントを長岡市の補助を受けて行っているほか、他の地域活動団体の育成なども行っている。幼稚園から93歳のシニアの方までが楽しく参加しているという。

「てらスポ!」の特徴は、単に誰でも参加できるスポーツ教室やスポーツイベントを開催しているということではなく、海や史跡・名所、人工芝のある多目的広場など、地元の地域資源をフルに活かして事業を展開しているところにあるといえるだろう。

今でこそスポーツに関わる仕事をしている石黒さんだが、元々はスポーツとは全く関係のない職場で働いていたという。自身の所属していた部署が事業縮小のため閉鎖することになり退職した。その後、職業訓練などを経て、現職についたという。

就職当初は、「寺泊だったら海もあるし、通勤距離も今までと変わらない。仕事の内容も、最初は事務関係の補助、体育館の受付係程度だろう」と考えていたらしい。ところがいざ、働き始めると、事務関係の仕事を一手に任せられることになった。7年目を迎えた現在ではクラブマネージャーとして、イベント運営や事務局の仕事など、全体を調整するような立場となり、多忙な毎日を送っている。「楽しいけど大変。いろんなことをやると、(人々から)パワーをもらえるが、自分のキャパを上回っている」と、石黒マネージャーは話す。

地域資源の活用したスポーツといった点で、石黒マネージャーが注目しているものの一つが、『浜大漁』(はまたいりょう)という競技である。この競技は、5キロほどある魚のぬいぐるみを13mの網で運び、その速さを競う競技である。元々は、運動会などで行われる大玉送りを寺泊版にアレンジしたもので、もともとは、寺泊町の運動会で競技の一つとして行っていたものである。ある時期から断続して行われなくなったものに、地域性としての価値が見いだされ、2018年頃から、再び注目されるようになった。

現在では、3月に開催される「健康とスポーツの祭典」などで行われるほか、地域外の学校などからも、要望があれば講師を派遣し、競技の指導を行っている。2022年11月にも長岡市立越路西小学校で競技指導を行った。寺泊発の運動として、さらに「寺泊体操」がある。これは、地元に古くから伝わる民謡「寺泊おけさ」の三味線と歌声に併せて行うオリジナルの体操で、新潟大学の先生に作ってもらった。

スポーツを介した地域おこし、賑わいづくりはもちろん、人々の健康増進にも大きく貢献している。

「前職まではスポーツにあまり関わっていなかった」と話す石黒恵美子マネージャー。プライベートでは、インディアカやスキーを楽しんでいるという。

(文・撮影 湯本泰隆)

 

【関連サイト】
「てらスポ!」公式サイト

【関連動画】
てらどまり体操の動画

 

 

 

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓