地域課題の解決に向けた新しいビジネスモデルを探って アドレス・佐別当隆志代表取締役社長が、新潟県十日町市で講演
少子高齢化の影響などにより現在、日本の人口は減少傾向が続いている。また、大学進学や就職などをきっかけに、地方の若者が都市部へと流入するケースが増え、そのことが地方衰退の動きを加速化させている。地方に住む人が減少すれば、当然、「空き家」も増える。残された「空き家」をどう活用していくかということが、全国的な地域課題の一つとなっている。
株式会社アドレス(東京都千代田区)では、全国各地の空き家などを、リモートワークで利用する人向けに、定額で貸し出す「多拠点移住サービス」を展開している。
新潟県十日町商工会議所青年部と、十日町市移住コンシェルジュは29日、同アドレス代表取締役社長の佐別当隆志氏を講師に迎え、地域の課題を新しい視点で解決してゆくためのセミナーを、越後妻有文化ホール段十ろう(新潟県十日町市)で開催した。
セミナーの前半では、佐別当氏による講演が行われた。佐別当氏は、「空き家が増えて困る」ではなくて、「空き家が増えることで、多拠点生活できる人たちが、もっと増える、むしろチャンスだ」と捉えた方が、前向きな解決策ができる。「空き家持っててどうしよう」ではなくて、「空き家があるからどうしよう」というスタンスでいた方が、いろんな可能性が開ける。「都市か地方か」ではなく、「都市にも地方にも暮らす」という選択が出来るような社会になった方が良い。地方が奪い合うのではなくて、互いに助け合うなど、都市と地方の良いところがミックスできるような取り組みが出来れば、と語った。
後半では、佐別当氏に加え、井比晃氏(十日町商工会議所 青年部 ビジネス委員会 委員長)の進行のもと、土岐三輪氏(一般社団法人インパクト・マネジメント・ラボアソシエイト 代表)、富岡広道氏(国内大手家電メーカー エンゲージメントセンター 顧客体験設計 主幹)、多田朋孔氏(十日町商工会議所 青年部 会長)、高木千歩氏(株式会社 妻有ビール 代表取締役)の4人のパネラーが加わり、それぞれが十日町に訪れるようになった経緯や、そこで暮らしていくうちに、次第に地域コミュニティと深く関わっていくようになっていった様子など、自身の体験などを通して語り合うなどのディスカッションが展開された。
今回、セミナーの講師として佐別当氏を迎えたことについて、井比氏は、「古い慣習を捨てられず、新しいことができない人が多くいる一方で、昨今はビジネスを通じて地域や社会の課題を解決することを目的とする事業者も増えている」とし、“一歩を踏み出せる若者を増やしたい”と考えたときに、アドレスの佐別当さんが適任だと思った」と語る。また、感想としては、「自画自賛ですが、とても良いセミナーになったと思っています。今回の裏目的として”地域内でのプレイヤーが増える”ことに置いていました。セミナー後には複数の人から“私もやってみたい”というリクエストがあり、次のアクションが生まれる状態にはなったと考えています。また多くの質疑が寄せられたことも前向きな人が来てくれたことによるものだと思うので目的は達成できたと考えています」と満足そうな様子で語った。
当日は、インターネット上での配信も行われ、行政関係者の来場や、海外からのアクセスも含め、130人近くもの参加があった。
今後、新潟県十日町市では、地域課題解決にむけたどのようなビジネスが誕生するのか、現地の若者の動きに注目していきたい。