「意外とDXが身近に感じられた」新潟市の「DX人材育成研修プログラム」開催、オンライン工場見学も
新潟市は3日、新潟テルサ(新潟市中央区)で新潟市内の中小企業を対象とした、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)人材育成研修プログラム」を開催し、多種多様な事業を営む17社から18人の経営者や関係者が参加した。
新潟市では、新型コロナウイルス感染症の影響で急速に進んだデジタル化への対応や、DXによるビジネスモデルの変革に向けて取り組む新潟市内の企業を支援する「DXサポート事業」を展開。企業内のDXを牽引する人材の育成を目的に、経営者層と実務担当者を対象にした研修プログラムを実施している。
今回は、経営者層向けに実施された研修プログラムが実施され、富士通japan株式会社(東京都)の安田幸男クロスインダストリービジネス本部マネージャーを講師に迎え、DXの基礎や考え方など、参加者に対し、約40分の講演を行った。
安田マネージャーは、「『DX』という言葉そのものに惑わされてはいけない」と主張し、アナログ技術を蔑ろにせず、「アナログ技術の延長線上にデジタル技術を活かしていく事が重要だ」と話した。近年は、新たなプラットフォームの登場でビジネスモデルそのものが変容していく中で、DXを推進していくには既存の事業を維持しつつ、新たな分野を開拓するために「深化」と「探索」の両輪を回し、組織的に調整して取り組む必要があるという。
安田マネージャーは、「あくまで(DX化は)改善の延長線上にあると思っている。日本の民間企業というのは、『アナログ技術』が進んでいる。進み過ぎているといっても過言ではないかもしれない。だから、デジタル化が難しいと考えている」と現状を分析した。
講演を聞いた参加者は、「意外とDXが身近に感じられた。誰かにとって効率の良いことを考えることが重要で、デジタルありきで考えると、考える幅が狭まってしまうという話があったので、どの会社でもやっている業務改善などをベースに考えてみることがDX化には大切なんだと感じた」と振り返った。
後半は、富士通フロンテック株式会社新潟工場(新潟県燕市)とリアルタイムで映像を繋ぎ、「オンライン工場見学」が実施された。
富士通フロンテック新潟工場は、2022年3月末現在で約300人の従業員が務めており、金融や流通業をはじめとする様々な分野に製品を製造しており、代表的な製品としては銀行などで運用されているATMなどを製造している。
オンライン工場見学では、同社が実施しているDXへの取り組みの紹介や製品を製造する上で使用しているDXの実例紹介、DX人材育成への取り組みなど、動画を交えながら紹介した。動画内では、工場内の様子や作業の様子を公開しつつ、取り組み内容の説明が新潟工場の代表者から語られた。
オンライン工場見学に参加した新潟市内で印刷会社を経営する女性は、「良い意味で期待が外れたと思った。もっと近未来のようなロボットが駆け回るような光景を予想していたが、私が経営する会社の工場と大きな違いはなかった。目から鱗が落ちた。弊社よりシステム化がされていたり、『見える化』が進んでいると感じた」と話した。
新潟市経済部成長産業・イノベーション推進課の田代いずみ課長は、「昨年度は実務担当者向けの研修だけをやっていたが、参加した人から自社の取り組みを進めるうえで、経営者も含めた社内全体の理解が必要だという意見を頂いた。なので、今年は実務担当者に加えて、経営者向けの研修を開催した。参加していただいた企業が今後、どういう風に展開していくかはわからないが、きっかけになればいいと思う」と語った。
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新潟市DXサポート事業:DX人材育成プログラム