新潟県とニュービジネス協議会が「新潟発!ベンチャー支援の仕組み~産官学によるサポート体制~」を開催
新潟県と一般社団法人新潟ニュービジネス協議会は7日、起業した人、起業を目指す社会人・学生、県内外の大学関係者、全国NBC(ニュービジネス協議会)会員などを対象に「新潟発!ベンチャー支援の仕組み~産官学によるサポート体制~」をテーマとしたパネルディスカッション形式のイベントを、開志専門職大学紫竹山キャンパス(新潟市中央区)で開催した。
このイベントは、「日本ニュービジネス協議会連合会」および、ベンチャー企業などの企業家活動の研究や活動支援を行う「日本ベンチャー学会」主導のもと2022年に創設され、今回で2回目の開催となる。
第1部では、ファシリテーターとして東京大学大学院の各務(かがみ)茂夫教授(日本ベンチャー学会会長)が参加し、新潟県産業労働部 創業・イノベーション推進課の佐々木淑貴政策企画員、新潟大学経済学部の伊藤龍史准教授、株式会社スナップ新潟(SN@P)(新潟市中央区)の逸見覚代表取締役、INSIGHT LAB株式会社(東京都)の遠山功代表取締役の4人がパネラーとして登壇し、各々が実践するベンチャーエコシステムの紹介などを行った。その後、各務教授進行のもと、パネルディスカッションが行われた。
パネルディスカッションの中で、伊藤准教授はファシリテーターの各務教授から新潟県内のベンチャー育成の水準について問われると、「大学自体がベンチャー育成に対する環境が整っていないというのが、正直なところ」と現状を話した。
続けて、「ビジネスチャンスは、学生たちが結構思いついたりする。しかし、思いついて終わりになる。どうしたら次のステップに行けるのかというと、(アイデアが)ビジネスチャンスだと気づかせることが重要。いわゆる、自分事にさせる。早い段階で自分のアイデアを様々な人たちに見せることで、フィードバックをもらい、実現可能なカードを揃えていく。意思決定プロセスをある程度教えたうえで、早い段階でアクションを取らせる」と教育を通じて、起業精神を育む方法を語った。
INSIGHT LABの遠山代表は、「この地(新潟県)を盛り上げたいという気持ちが凄くある。それは支援者としてではなく、我々が、我々の会社組織が新潟に貢献できるように切磋琢磨をしながらやっていこうという風に思っている」と話した。
スナップ新潟の逸見代表は、「徐々にではあるが、企業家や企業を目指したいという学生が増えているという実感がある。しかし、やっと自分の会社を作ったという人間が苦しんでいる。企業家を生み出して終わりではなく、やっとできあがった1人の企業家をサポートして、ちゃんと成長させなければいけない。色んな分野の人間が若い起業家をサポートしてほしい。僕ももちろんやるが、水を与えてちゃんと花を咲かせるようなところまでもっていかなければならないと思う」と語った。
第2部は「投資家とベンチャー企業の関係」をテーマにディスカッションが行われた。
メンバーは、引き続きファシリテーターとして各務教授が登壇し、パネラーには、第1部に引き続き新潟県の佐々木政策企画員が登壇した。加えて、第2部から株式会社Matchbox Technologies(新潟市中央区)の佐藤洋彰代表取締役と新潟ベンチャーキャピタル株式会社(新潟市中央区)の永瀬俊彦代表取締役の計3人がパネラーとして登壇した。
Matchbox Technologiesの佐藤代表は自身の経験を交えながら投資家との思い出を語り、「私は太平洋側に住んでいたので、新潟がどういう土地かわからなかった。だから、こんなにも自分の人生において新潟が重要な土地になるとは思わなかった。(自分にチャンスをくれた投資家から)一滴のしずくを頂いたことで、その生命力を活かして事業を展開した。そして、今現在、IPOをするに相応しい事業モデルになった。新潟でも時価総額1,000億円を超えるような事業価値があるビジネスモデルを作れるということに挑戦している」と今後の展開を語った。
起点となるような事業家を自治体はどのようにサポートしていくのかを佐々木政策企画員は問われると、「我々自治体の重要な役目は環境整備だと思っている。企業が中心になるケースや大学が中心になるケースなど、色々なケースがある。海外のケースを見ると、大学が中心になるケースが多い。しかし、地方にはなかなかそういう環境がない。そんな中、投資家さんや企業との繋がりによって、素晴らしい会社を育てているマッチボックスさんのような企業が、新潟県の1つのモデルになっている」と話した。
新潟ベンチャーキャピタルの永瀬代表は、「今日、ここに集まってくださった皆さんに絶対に伝えたいことが1つある。今、新潟はとても盛り上がっている。僕は2003年から新潟で仕事を始めた時に、アルビレックス新潟という凄いチームがあった。私も(新潟で)20年も仕事をしていると知らないうちに古くなっていて、最近、大学生と話をする中で『アルビレックス』というサッカーチームは、水道や電気みたいにインフラとして元々あったと聞いて、ちょっとショックを受けた。本当に何もないサッカーチームを0から立ち上げた経営者がいて、今のアルビレックスがある。こういうところからスタートするのが今の新潟だと思っている。数多くの企業家や関係者の努力が積み重ねの延長で、今の盛り上がっている新潟があるということを改めて伝えたい」とメッセージを伝えた。
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