原信ナルスの新スタイルの店舗「エクスプレスマーケット」
小型版で一段と小商圏に対応
アクシアルリテイリング傘下の食品スーパー、原信ナルスでは新しいスタイルの店舗の構築を進めている。2015年から従来型の食品スーパーを進化させ健康志向や時短ニーズなどに対応した「ニューコンセプト2プラスセントラルマーケット(以下、NCⅡ+)」という新型店を開発。さらに2018年3月には、「NCⅡ+」の“小型版”で一段と小商圏に対応した「エクスプレスマーケット」の出店を開始した。
地盤とする新潟県内でもコンビニエンスストアが店舗を増やしている上、ドラッグストアが食品の取り扱いを強化し低価格で集客する戦略を展開、食品スーパーとの競合が激しくなっている。こうした業態に打ち勝つためには、一段と小さな商圏でも採算が合う「エクスプレスマーケット」のような業態を加え、小型店のドミナント(高密度集中出店)体制を構築していく必要があると判断した模様だ。同社では、今後の出店の主力はあくまで「NCⅡ+」としているが、エクスプレスマーケットも隙間に配置していく戦略のようだ。
3月にオープンした「エクスプレスマーケット城岡店」は売り場面積が約1850平方メートル。「コンパクト、回りやすいレイアウト、さらに即食強化、しかも運営の効率化を図り生産性を上げるための売り場集約」などをコンセプトとして設計した。具体的には、「NCⅡ+」よりも一回り小振りの店舗サイズで、品目数は1万1000品目と少ない。だが、総菜やベーカリーなど即食商品はNCⅡ+(巻店)とほぼ同等。また、入口に近いゾーンに即食商品を集約化し、手早くパッと買い物ができる設計になっている。
このエクスプレスマーケットは、年商14~15億円でも採算が合うようにできている。また小振りの店舗ながら、品ぞろえを充実させ、生産性を高め、コンビニやドラッグに対し競争力のある店舗となっている。
先述の通り、県内でも出店が増えているドラッグストアは、食品の安売りを徹底しており、食品スーパーとの競争が激しくなっている。そうしたなか、食品スーパーは食の専門店の強みを生かし、生鮮や総菜など、ドラッグストアやコンビニの品ぞろえが少ない分野を強化し、競争力を確保する方向性が見えている。原信ナルスでは今後、新店や既存店を、NCⅡ+やエクスプレスマーケットに置き換えていく戦略のようだ。
(2018年11月10日号より転載)