台湾の旅行事業者を新潟県燕市と弥彦村へ招請、外国人旅行客目線での評価を取り入れ誘客強化目指す

玉川堂を見学する台湾の旅行事業者

新潟県燕市で10日、台湾の旅行業関係者を招いたインバウンド環境の検証が行われた。国の実施する事業の一環で、感染症禍明けの誘客強化を目指し、外国人旅行客目線の意見を取り入れる。

同事業は、国土交通省北陸信越運輸局が実施する「DXを活用したインバウンド受入環境に関する検証実証」の一環で、燕市と弥彦村が実証地域として選ばれた。すでに昨年12月からバーチャルプラットフォーム「GAIA TOWN」内に燕市と弥彦村の観光関連ブースを出店しオンラインでの発信を強化しているが、今回の招請ツアーでは、実際に訪れることで外国人訪問客目線での評価を調査することが主な目的。

なお、12月に開催された定例会見で燕市の鈴木力市長は「台湾は日本への旅行者が多く、また新型コロナウイルスの押さえ込みにも成功しているため、早期に海外渡航や交流が再開できる」と期待をコメントしていた。

バーチャル上での展示の様子(2022年12月撮影)

10日の様子、職人と製品を間近に見学した

招請ツアーには、台湾の旅行会社5社から5人が参加。10日は、燕市の玉川堂や藤次郎といった企業の工場見学、道の駅国上や杭州飯店、そして燕市産業史料館などを巡り、翌11日には弥彦村へ向かう予定となっている。

10日午前、玉川堂ではスタッフが同社のものづくりの工程や燕三条の産業について解説。台湾の旅行会社社員たちは製品の値段や洗い方を尋ねたり、工場の風景を記録していた。

燕市産業史料館の山田博文館長は「産業史料館でも1日1組ぐらい海外客が来るようになっている。アジア圏からが7割以上、オーストラリアやカナダ、アフリカから来た人もいる。個人客が中心だが、観光が回復していることを実感している」と話す。一方で、団体客は現状用意されているツアーの内容もあって、新潟空港から新潟市内や佐渡へ向かうか、福島県などへ向かうことが多く、燕市へ来ることは少ないようだ。

1月には新潟空港の台湾線が就航したこともあり、新潟県のインバウンドへ対する視線は熱い。一方で燕三条の得意とする産業観光、オープンファクトリーは、工場によっては大人数を迎えることが難しい点なども指摘される。今回のメタバース利用は、ブース内で映像を表示したり、グーグルアースのように一部施設内を閲覧する程度に留まったようだが、工場の構造をシミュレートできるほどになれば様々な活用法が見出せるだろう。今回の事業から発展に繋がることに期待したい。

 

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