老舗割烹からファッションまで展開するノブブサーズ
河井継之助が昼食をとった「東忠」も
戊辰戦争から150年の2018年、長岡市は開府400年の節目を迎えた。同市は北越戊辰戦争の激戦地で、かつて現在のJR長岡駅付近にあった長岡城の攻防戦はし烈だった。山県有朋らが率いる西軍の攻撃でいったんは落城したものの、長岡藩が奇襲をしかけて奪還。だが再び落城し、西軍が勝利した。長岡藩を指揮したのが同藩の家老で軍事総督となった河井継之助だった。その河井を描いた司馬遼太郎の名著が「峠」。昨年「峠 最後のサムライ」の名で映画化が決定し、来年の公開に向け撮影も進んでいる。
「小千谷談判」と呼ばれる西軍側と河井との会談が決裂し、両者は干戈を交えることになった。会談を終えた河井が昼食をとった場所として知られるのが、小千谷市にある老舗の割烹「東忠」だ。江戸末期の建築とされる木造三階建ての本館は国指定の文化財で、河井が昼食をとったとされる座敷も今に残されている。2017年5月、小千谷きって老舗割烹「東忠」は、伝統の建物はそのままに、「居食亭東忠」となってリニューアルオープンした。東忠の経営を引き継いだのが、長岡市を中心に飲食店などを展開するノブサーズ(長岡市)だ。
ノブサーズは昭和58(1983)年の設立。主力事業は飲食部門で、「和創作‐灯‐(あかり)」を長岡市内で2店舗営業している。そのほか創作居酒屋やワインとグリルの店、焼き鳥店、ラーメン店、あるいはパティスリー (洋菓子店)などを長岡市内で展開している。本格的な日本料理店では、小千谷の「東忠」のほか、長岡市の中心市街地にある「割烹 柏亭」を運営。このほか2017年6月、長岡前に馬肉料理専門店「馬喰ろう(ばくろう)長岡店」を出店。県内では新潟店に続き2店舗目だが、長岡店はFCでノブサーズが運営している。
ノブサーズの展開は飲食部門にとどまらない。同社にはヘアアトリエ「NEVAEH(ネヴェア)」、ネイルサロンの「Garden Nail(ガーデンネイル)」といったビューティ部門もある。あるいはオーダーメイドシャツ、スーツの「ERIC(エッリック)1‐7‐6」なども手がけている(一部は別会社で運営)。「アオーレ長岡」に近い「ヒラガタビル」は、1階がノブサーズのパティスリー、2階がヘアアトリエとネイルサロンになっている。
「衣食住+美」をテーマにしているというノブサーズでは、飲食、アパレルや美容部門に続き保育園の運営も計画している。定員19名の小規模保育園で、開園は来年3月の予定。0歳から2歳児の未満児保育業務を全般的に行うという。「衣・食・住・美」すべての質的向上を目指すという同社の展開は注目だ。
(2018年11月10日号より転載)