【道の駅特集】ローカルヒーローもいる「道の駅 長岡花火館」 デジタル技術と映像のわかりやすさを駆使し、長岡市のアミューズメントパークを目指す【動画あり】
2020年9月18日、新潟県内でも最も勢いがある道の駅のひとつである「ながおか花火館」が、関越自動車道長岡インターチェンジからアクセスのよい国道8号沿いにオープンした。その名前にあるように、長岡花火を通年で楽しめる同花火館は、長岡花火を音と映像で楽しめるドームシアターをはじめ、12店舗からなるフードコートやレストラン、長岡の特産品販売コーナーなど充実した内容になっている。
従来の「道の駅」といえば、自動車で移動している旅行者などがちょっとした休憩に立ち寄り、その土地の観光情報を入手したり、土産物を購入したりといった役割を果たすのが多い中、こちらの道の駅はその目指すところが違う。がっつり集客し、まるでアミューズメントパークかのような雰囲気である。
主要な施設のひとつは、2階建てとなっている長岡花火ミュージアムである。なかでも、一番の目玉は、2階にあるドームシアターだろう。毎年8月2日、3日に打ち上げられる長岡花火の様子を体感することができ、臨場感あふれる大迫力の大花火を休館日以外ほぼ毎日楽しむことができる。104席の座席は、土日にはほぼ満席状態である。また、入館料無料の1階は、周囲の壁一面に長岡花火の歴史や魅力を紹介する展示室となっている。展示室に設置されている幅15メートル、高差6メートルの大ビジョンでは、花火の映像がみられるほかに、花火のゲームなどが楽しめる。
また、同花火館にあるレストラン「HIGH AMBITION」は、日本海側最大級のプロジェクションマッピングを用いた新しい形の飲食店である。ミシュラン1つ星店「Restaurant L’asse レストランラッセ」のオーナーシェフで、新潟県十日町出身の村山太一さんの監修によるものである。食事をとりながら、フロア一面に広がる長岡花火などの映像を見ながらの食事は、気分も盛り上がる。
そのほか、花火ミュージアムから少し南側には「いっぴんモール」、西側には「ぷらっとモール」があり、それぞれ地場産の商品の購入や、フードコートを楽しむこともできる。
「いっぴんモール」では、充実した日本酒のコーナーはもちろん、「長岡花火カレー」など地元の老舗や企業による商品が隙間なく並んでおり、中にはここでしか買えないものもある。また、フードコートにも「松キッチン」「吉原や」といった地元飲食店が出店している。
また、同花火館を中心に活躍する長岡市公認のローカルヒーローもいる。「守護騎士ハナビスター」である。2021(令和3)年、同花火館の一周年祭に初披露されたハナビスターは、DVDなどのグッズ販売も展開している。同フードコート内大型サイネージでは、営業日なら毎日その活躍を楽しむことができる。
このような様々な工夫と仕掛けがなされている同花火館の総括マネージャーをしているのが、武士俣一樹駅長(35歳)である。
武士俣駅長によると、同花火館ができる以前は、もともと市内に花火をPRするような施設がなかった。そこで、花火をPRできる施設ということで、前長岡市長の時代(2010年代)から構想はあったという。当初は、入場者年間100万人以上の目標を掲げて建設が始まった。オープン後は新型ウィルス禍などの影響もあったが、当初の目標はしっかりクリアした。新潟県内中心の来場者だったものが、最近では九州など県外からの来場者も増えてきたという。それでも武士俣駅長は満足していない。「ディズニーランドの来場者数に比べるとまだまだだ」という。「まだオープンから2年半しかたっていない。まだまだ(花火館を)知らない人もいる。認知度を高めていくとともにテーマパークにさせたい」と理想は高い。
武士俣駅長によれば、「ドームシアター、ハナビスターは他ではやっていないこの施設だけの取り組みだが、どちらも飽きられたらそれで終わり。ドームシアターでは、定期的に上映の中身を変えて、その都度新しい花火を見せている。ハナビスターに関しても、続編を作って、ストーリーを見せていきたい」と意気込みを語る。
最新技術を活用し、地域のコンテンツを観光客に紹介する。新潟県長岡市らしいアイディアと知恵がふんだんに盛り込まれている。
(文・撮影 湯本泰隆)