新潟県長岡産キャビアで新しい可能性を開く、プラントフォームがキャビアの商品化に成功
誰がいつ決めたのだろうか。「世界三大珍味」のひとつといわれている「キャビア」は、チョウザメの卵の塩漬けのことで、希少価値の高い高級食材とされている。なぜキャビアは希少価値が高いといわれているのか。それは、チョウザメ自体が数の少ない貴重種なうえに、抱卵するまでに10年近くかかるからである。また、チョウザメは外観ではオスかメスかの判別がつきづらいため、これまで雌雄判定にはチョウザメが成魚になるまで待ち、成長した段階でお腹を割いて雌雄の判別を行う必要があったが、この方法では非常に時間がかかる上に、途中で個体が死んでしまうなどの難しさがあった。
そのような入手しがたいキャビアが手軽に、それも地元で食べられるようになったらどんなにか素晴らしいだろう。そんな夢のような技術を実現化し、長岡産キャビアの生産に成功した企業がある。
新潟県長岡市上前島にある株式会社プラントフォーム(代表取締役CEO 山本 祐二)である。同社は、植物と魚を同時に育てる「アクアポニックス」という技術で養殖に成功したチョウザメから取れるキャビアを発売する。同社は、2019年から、チョウザメの養殖を始め、2022年には、事業者としては初となるDNA検査を用いた新しいチョウザメの雌雄判定システムの実用化に成功した。これにより、通常3~4年ほどかかるという雌雄判定に至る時間を大幅に短縮し、効率よくキャビアを生産できるようになったという。
21日、同プラントフォームは、長岡初となる「キャビア」商品化の報告のため、長岡市長を訪問した。
従来なら保管輸送のため塩分濃度の高い外国産のキャビアに対し、塩分濃度を3以下に抑えた国産のフレッシュキャビアは、チョウザメの卵と岩塩のみを使い、旨味がピークに達するまで熟成させることで引き出され、キャビア本来の濃厚でクリーミーな味わいを楽しむことができる。
今回の表敬では他に、日本有数の醸造の街、長岡ならではの新しいキャビアの楽しみ方として、柏露酒造(長岡市十日町)の吟醸酒を用いたフレーバー『吟醸キャビア』、とちお農園(長岡市栃尾本町)の国産白ワインを用いた『ワインフレーバー』の2種を加え、計3種類が用意された。
初めての長岡産キャビアを試食した磯田達伸長岡市長は、「魚卵というのがよくわかる、おいしいね」と食感についての感想を述べ、髙見真二副市長も、「塩分がそんなにないので、たらこでいうところの卵の味がする」と述べた。
3種類のキャビアを堪能した磯田市長は、「プラットフォームさんが4年前、アクアポニフィックスを導入したと聞いてから、いつかキャビアが食べられるということを夢見ていた。ふるさと納税の返礼品にすれば、奪い合いになる。今後も販売に協力していきたい」と述べた。
また、同社の山本祐二代表取締役CEO(43歳)は、「光栄でございます。4年前にから養殖をはじめ、しっかり商品化できたので嬉しく思う」と苦労の末商品化に成功できた喜びを語った。
初年度に当たる今年は、20匹分に当たる計3キロを1瓶20グラムの食べ比べセットとして100セットを3月頃より販売する。今後は、「生産量を2~3倍に増やしたい」とする。長岡市内の一部飲食店で販売される他、ふるさと納税の返礼品、ECサイト「楽天市場」内の長岡市公式ショップでの販売などが行われる予定である。また、キャビア以外の“身”の部分に関しても、肉や化粧品としての加工をしてゆく方針である。