【村上新聞】骨髄バンクドナー増えて〜NPO命のアサガオがクラウドファンディング
手記を電子書籍化して医療系大学、専門学校へ寄贈
NPO骨髄バンク命のアサガオにいがたはこのほど、骨髄バンク普及のため、18年前に同NPO会長の丹後まみこさん(64)がジャーナリストの神津伸子さんとの共著で出版した手記「命のアサガオ 永遠に」を電子書籍化し医療系大学や専門学校に寄付するため、クラウドファンディング(CF)で支援を呼び掛けている。目標額は150万円。
胎内市在住で同NPOの活動を続けているまみこさんは、小学校入学前に急性リンパ性白血病と診断され7歳で夭折した丹後光祐君の母。まみこさんらの「血液疾患と闘っている人がいることを知ってもらい、骨髄バンクへの理解を広めたい」という思いが、光祐君が大切に育てていたアサガオの種とともに全国の小学校などへと広がり、また、現在では「こうすけくんのアサガオ」として道徳の教科書等への掲載や児童書などにもなり、“命は自分一人のものではなく、たくさんの人の愛情に包まれて生まれ育まれる、かけがえのない尊いもの”というメッセージを伝え続けている。
アサガオとともに思い広がる
まみこさんのこうした活動は1995年から96年、「にいがた・骨髄バンクを育てる会」が奔走し、村上市岩船郡の校長会が動いたこともきっかけのひとつ。96年4月23日、旧山辺里小では児童会が「アサガオ集会」を主催し、まみこさんを招き話を聞いた。当時を振り返り、「本当にたくさんの方々に協力していただいた」とまみこさんは目を細める。以後、アサガオの種とともに思いは広がり、新潟県は骨髄バンク啓発活動やドナー登録者増加が全国でも高水準で推移してきたという。
しかし、現在は「~育てる会」が発展的解散し、地域や取り組み内容ごとに大きく分けて3つの団体が活動。同NPOもそのひとつだが、関係者の高齢化、ボランティアの減少による新たな苦労も生じており、活動への直接的な関わりも呼び掛けたいという。
誰かのチャンスはあなたにしかつくれないかもしれない
ドナー登録は「20歳以上55歳以下」という年齢制限のため、長らく登録してきた人が“卒業”となる一方、新規登録者数がかつてのようには伸びていない県概況も。国内で年間約1万人が発症し、2千人以上が骨髄移植を必要とする血液疾患患者に対して、移植を受けることができる患者数が1200人程度、約6割に留まっている現状を打破するには、若い世代が話題にしたり、登録者となることが大きな力になる。また、関係者らは企業へ“ドナー休暇”等の採用も呼び掛けている(県内では9社のみ活用)。
まみこさんは「活動を応援したくても、声に出さない・出せない、方法がわからない、という方がいらしゃると思う。特に若い方々には関心を持って、関わっていただければ」としている。
CFは3000円からコースが設定されており、返礼品にはまみこさんの手記や、同NPO事務局・高野由美子さんが綴った、急性リンパ性白血病により18歳で旅立った息子・敏行さんの精一杯生きた闘病記「俺、マジダメかもしれない…」などが届けられる。3月19日(日)まで受付。インターネットが使えない人には代理支援も受付中。問い合わせは、プロジェクトリーダーの古川俊治さん☎080(5035)7610まで。
村上新聞2023年2月25日号