【独自】「アーティストではなく、イラストレーターとして生きていきたい」ムサビ出身で東京から移住したひぐちキミヨさん(新潟県上越市在住)

新潟県上越市のヨモギ文庫プロジェクトの絵本

イラストレーターのひぐちキミヨさんは、ほんわかとした温かい印象のイラストを描くことで新潟県上越市ではかなり有名な人物である。元々は東京生まれ、東京育ち。結婚を機に新潟県上越市に移住した。

それにしても、ひぐちさんの生い立ちがなかなかすごい。父親が大手広告代理店で営業を担当していたというエリート。ひぐちさんは世田谷区駒沢公園の近くで育った。そして、小学校から高校まで名門女子校の田園調布雙葉(ふたば)学園に通った。

父が大手広告代理店で、日本ヘラルド映画株式会社(現株式会社角川ヘラルド・ピクチャーズ)を担当していたこともあり、家には映画のパンフレットやポスターが溢れていた。そんな環境で育ったひぐちさんは、小学生のころからイラストレーターになりたいと思っていたという。

高校を卒業し、進学は武蔵野美術大学短期大学へ。美術の世界では言わずと知れた名門のムサビである。「短大は難しくないんですよ」とこちらもまた謙遜するひぐちさんだが、あのほんわかしたイラストには、学生時代に学んだしっかりとしたバックボーンがあるのである。

ムサビを卒業してからは就職をせずに、アルバイトをして過ごしたが、コマーシャル制作の関連会社で働くことになった。そこで、見積書を書いたりしていたが、次第に絵コンテを頼まれたりすることもあった。

その中で、当時のイラストレーターや広告制作に関わる人たちの仕事を直に知り、「毎朝起きて満員電車に乗りたくない」とのある意味不純な動機(?)で、イラストレーターを目指し、25歳で退社。時はちょうどバブル。イラストの仕事があったという。

35歳で上越市に移住。「上越はスキーもできるし、何よりも食べ物が美味しい。魚、お寿司、米、そして野菜。きゅうりに味があると上越に来て初めて知りました。東京のきゅうりには味がない。東京では実家だったし、畑もないし、上越に来て成長したことがいっぱいあります」。

また、上越市高田の町家にも魅了された。「雁木や町家、ごぜさんも知らなかった。町家は、梁があって、天窓があって、初めて見た時にファンタジーだと思いました。一時期、高田の町家に仕事場を借りて、2年くらい住んでいました」

上越市では知人の紹介でイラストの仕事を始めて以来、その温かみのあるイラストが話題になり、今では上越地域で第一人者となっている。近く個展も控えており、目下制作に忙しいひぐちさん。

ひぐちさんの絵は、年季の入った上越市の人気飲食店などのイラストが多い。「日常の喜びに繋がる絵を書きたい。アーティストって感じではなく、イラストレーターとして生きていきたいなと思います」。今後も上越地域のみならず、新潟県の人気スポットを書き続けてもらいたいものである。

ひぐちキミヨさん

ポストカードの数々

卓上カレンダーとカレンダー

(文・撮影 梅川康輝)

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