【独自インタビュー】 安倍元首相を襲った凶弾の闇、深層を高鳥修一代議士が激白

「執刀医の証言と警察発表の食い違いが、疑問の原点」と話す高鳥修一代議士

文春報道以降「銃撃」から「暗殺」に

令和4年7月8日、参院選の選挙応援に訪れた奈良県大和西大路駅前の路上で凶弾に倒れた安倍晋三元首相。

事件から半年以上経過した今、週刊文春が報じた「疑惑の銃弾」記事により再びその闇部分があらわとなって注目を集めている。文春の報道は概ね以下のような内容。

山上容疑者の銃口から発せられた銃弾のうち、安倍氏の被弾数は3発。銃弾①は左上腕部から射入し左右鎖骨下動脈を損傷させ見つかっていない。銃弾②は右前頚部から入り、右上腕部で止まっていた「疑惑のまと」となっているもの。銃弾③は咽喉の下部をかすめ擦過傷を与えたにとどまったもの。

なぜ銃弾②が最もクローズアップされるのか。犯行に及んだとされる山上徹也容疑者は当初、安倍首相のほぼ真後ろ7mに位置どり初弾を発射。銃弾に振り向いた安倍氏に対し、山上はそのまま約5.3mの位置まで近づいて2発目以降を撃っている。にもかかわらず銃弾②が前頸部右側から射入しているのは、銃弾に振り返った安倍氏が上体だけで90度以上転回する必要があり、いかにも不自然なからだの動きになる。文春では実証実験まで行って、この弾道では無理があることを指摘している。

事件後、マスコミや世間の注目は山上容疑者の背景から統一教会問題に終始し、この不可解な銃弾の考察はほとんどなされていなかったが、週刊文春2月16日号でそのフタがあいた。一部ネットに「山上容疑者のほかにスナイパーが存在した」などの陰謀論として騒がれるにとどまっていた問題が、再び動き出すのか。

にいがた経済新聞では文春の記事にも登場し、この「疑惑の銃弾」について言及している高鳥修一代議士を直撃した。

当選5回の高鳥氏にとって安倍氏は自身の政界入りにも大きな影響力があった、師と仰ぐ存在。自身が狩猟免許を所持し猟銃を扱う立場でもあることから、銃器にも見識がある。自民党内にすらこの銃弾疑惑の真相を解明しようとする積極的な動きはなく、わずかに高鳥氏や青山繁晴参院議員が独自調査に乗り出しているのみ。高鳥氏は2度にわたって警察庁幹部にヒアリングを行っただけでなく、独自にこの事件のレポートを作成し、医療関係者に見解を問うなど最も事態解明に積極的な姿勢を見せている。

故安倍晋三元首相(昨年6月23日、新潟県上越市で撮影)

執刀医の証言と警察発表に食い違い

―安倍氏を襲った銃弾について、最初に疑念をもったきっかけは何か。

高鳥(以下略) 7月6日に銃撃事件が発生し救急搬送された奈良県立医大で蘇生措置が行われたわけですが執刀された担当医の福島英賢教授が7月8日に語った内容と、後の警察発表による司法解剖の結果が大きく異なっていたこと、そこがそもそもの原点。

―食い違っていたのはどういう点か。

福島教授の説明は、私も何度も動画で見返したが前頸部の銃創について2箇所あるうちどちらとは言及していないが「射入口」だと言っている。そして左肩の射出口から抜けて貫通している、と。警察の発表はその真逆で、左肩から入って左右の動脈を損傷し、これによる失血死だと言っている。執刀医の証言と司法解剖が全くの真逆になるということはちょっと考えにくいこと。

―疑問点はその他にも?

その他にも通常では説明のつかない疑問点がいくつも存在する。ひとつは体内から一個の銃弾が消失している点。手術室や外来処置室も厳重に管理されている中で結局見つかっていない。

さらに、福島教授の証言では「右前頸部から射入した」とされる銃弾(文春記事では銃弾②)が右上腕部で骨にあたって止まっている点。壇上にいた安倍さんを下方から狙撃した山上容疑者の銃弾が頸から入ったとして、下にさがっていくのは不自然ではないか、と。これについては医療関係者にもヒアリングしたが「右前頸部から入った銃弾が頸椎に当たって向きを変えた」可能性が考えられるということだ。これだと山上容疑者の方向と一致しない。

―文春報道では、山上容疑者の位置から安倍氏の右側前頸部を狙撃するのは極めて困難であるとしているが。

(立ち上がって安倍氏の態勢を)こう演説をしていて、銃声がして振り向くわけです。足は踏み替えていません、上半身だけで振り向いている。だから普通の動きなら可動域に限度がある。この体勢で、真後ろ5.3mにいた山上容疑者がここ(右前頸部)を狙撃することは極めて難しい。安倍元総理が左に振り向いてかすった傷が喉の真ん中にあるということは、当たるとすれば喉ぼとけの左側でなければつじつまが合わない。警察は「大きく振り向いたから」と言っているが、それでは(銃弾③の)擦過傷との整合性がとれない。左に大きく振り向けば、銃弾②も銃弾③も両方射入口になる。

―国会内や自民党でも、この疑問を検証、解明しようという動きは見られない。

(党は)確かに積極的ではない。しかし疑問にフタをしたまま先には進めないと、私は考える。憲政史上最も長く首相を務めた大政治家の最期について真相究明が必要である。陰謀論ではなく物理的な弾道の矛盾であり、、検証はきっちりされるべきと考える。

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