【真相究明】古町に出現した「10円パーキング」の謎、新潟土地建物販売センター(新潟市中央区)の川上創代表取締役に聞く

「基本料金60分10円」と表示しているCRE.ES PARKING(クリエスパーキング 新潟市中央区)の案内板

1日、ツイッターに投稿された1つの画像が新潟で話題となった。それは、新潟市中央区古町地区にある「基本料金60分 10円」と記されている有料パーキングCRE.ES PARKING(クリエスパーキング)の案内版である。

フェイク画像かと目を疑うほどの驚くべき料金設定。「10円パーキング」の真相について、駐車場を管理する新潟土地建物販売センター株式会社(新潟市中央区)の川上創(はじめ)代表取締役に話を聞いた。

 

「古町にユニークな話題を投じる」その狙いとは

「10円パーキング」を始めた理由について、「1つではなく複数の理由がある」と答える川上代表。その1つにあげたのは、「古町に話題を投じる」という目的だ。

新潟市の古町と言えば、新潟市の中でも最も歴史があるエリアの一つで、かつては花街として栄えた場所。現在でも老舗の料亭や人気の飲食店がある一方で、時代とともに街は変化し、近年では大型デパートが撤退するなど、人流が減少している状況が否めない。

自らも現在古町地区に居住しているという川上代表は、「一言でいうならば、古町に話題性を持っていきたかった。中途半端ではなく振り切った価格設定なので、そこで収益は求めていない。僕自身が住んでいる場所でもあるし、新潟県民としても古町でなにかができればというユニーク性を持たせたもの」と話す。

川上代表は、「10円パーキング」をやることで口コミが広がり、実際に古町に足を運び見に来てくれる人が出るのではないかと予測して実施したところ、その狙い通りスタート初日からSNS上で大きな話題となった。

「10円パーキング」の取り組みは、単なる話題作りだけにはとどまらない。もう1つの理由は、新潟土地建物販売センターのプロモーションとしての目的だ。

かつての賑わいを失ってきているとはいえ、新潟の繁華街の中心としての歴史を持つ古町。川上代表は、古町のど真ん中に「10円パーキング」が出現したとなれば、「どこの誰がやっているの?」と、多くの人が興味を持ち、それが結果的に自社の広告になると考えた。

CRE.ES PARKING(クリエスパーキング)の場所は新潟市中央区西堀前通8番町の西堀通りと西新通りの間にある

西堀通り側(入口)から見たCRE.ES PARKING(クリエスパーキング)

新潟土地建物販売センターといえば2022年12月、新潟市西蒲区に複合的住宅街「野きろの杜」を、株式会社石田伸一建築事務所(新潟県新潟市)、株式会社スノーピーク(新潟県三条市)と共同で開発しオープンさせた。「野きろの杜」開発を通して新潟土地建物販売センターを知った人が多くおり、今回の「10円パーキング」の取り組みで話題となることで、「野きろの杜を開発した会社だ」との認知をさらに上げていく狙いもあるという。

気になるのは「10円パーキング」を管理運営する上でのコストだ。具体的なコストについては明かさなかったが、この土地の所有および駐車設備の管理コストは、数十万円レベルの話ではないことは明らかだ。

 

「古町に投じる次の一手」未公開情報を語る

さらに川上代表に理由を聞くと、「まだどこにも公開していない」という、もう1つの大きな目的を明かしてくれた。それは、古町地区でまもなく公開する賃貸テナントビルの募集開始に向けた広報戦略としての狙いだ。

新潟土地建物販売センターは2022年、古町通8番町の飲食店が入る6階建てのビル(鳥屋野不動産古町ビル)を購入した。現在、募集開始に向けた準備を進めており、3月中旬の公開のタイミングで新たなビル名に変え、テナント募集を開始すると明かした。

「10円パーキング」の取り組みにより、「10円パーキングをやっていた会社が、今度は賃貸テナントを公開する」と世間に認識され、公開と同時に注目が高まることに繋げたいと考えているという。

川上代表は、「いろいろな事をやっている会社だという認識を広げていきたい。『野きろの杜』から始まって、次はユニークな駐車場を運営し、一方で古町の一等地にビルを所有して賃貸募集をかける。そんな多様性を出していくため、今回はその第一弾として(10円パーキングを)始めた」と話した。

西新通り側(出口)からみたCRE.ES PARKING(クリエスパーキング)

精算機はキャッシュレス支払いのみ対応

2日午後、記者が「10円パーキング」に訪れたところ、5台分の駐車スペースのうち4台が埋まっており、のこり1台の軽自動車用の駐車スペースが空いている状況だった。これだけ破格の料金では、空いているタイミングに出会えるのは難しいかもしれない。

なお、「10円パーキング」の支払いは、クレジットカードや電子マネーのキャッシュレスのみとなっているが、実はここにも理由がある。同社は、所有する他の駐車場の精算機を、全てキャッシュレス対応を導入したとのことで、多くの人がキャッシュレスを利用するようになって欲しいという狙いがあるという。

「10円パーキング」の出現によって、古町にどんな変化が起こるのか。そして、さまざまな事業を手掛ける新潟土地建物販売センターの今後の動きに注目していきたい。

「10円パーキング」のCRE.ES PARKING(クリエスパーキング)がある新潟市中央区西堀前通8番町

新潟土地建物販売センター株式会社(新潟市中央区)の川上創代表取締役(中央)、報道関係者向にて開催した「野きろの杜」街びらきお披露目会より(2022年11月30日撮影)

(文・撮影 中林憲司)

 

【グーグルマップ CRE.ES PARKING(クリエスパーキング)】

 

【関連サイト】
新潟土地建物販売センター株式会社

 

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