漫画「クプルムの花嫁」、新潟県燕市が舞台となった決め手は「玉川堂の工場見学」(作者namo氏)

初日3日には、作者のnamo氏が訪れ、紹介のパネルにサインを直筆した

燕市産業史料館(新潟県燕市)では現在、同市を舞台にした漫画「クプルムの花嫁」の企画展を開催しており、初日となる3日には作者のnamo氏が来場した。(企画展の記事はこちらから → 燕市産業史料館(新潟県燕市)で漫画「クプルムの花嫁」の企画展が開催中、初日には作者namo氏も来場

namo氏は岡山県鏡野町生まれ。「月刊 ComicREX」(一迅社)で漫画家デビュー。現在、漫画誌「ハルタ」にて連載中の「クプルムの花嫁」は、燕市の伝統工芸である鎚起銅器の若き職人「修(しゅう)」とその恋人「しいな」を描いたラブコメディ作品だ。

namo氏によると、「地域に根差した漫画を描いてみないか」と担当編集者から持ちかけられたことが同作品の始まりだったという。候補地として燕三条地域以外にも福井県鯖江市が上がっていた中、決め手となったのは鎚起銅器の老舗・玉川堂の取材だった。「玉川堂の絵力(えぢから)がものすごかった。工場見学をした時に感じたその場の力、雰囲気……漫画にした時に良い絵になるな、と」。当時感じた確信をnamo氏は振り返った。

燕市産業史料館内にある鎚起銅器の作業場の再現

以降、長岡や佐渡もふくめ、年に2回以上は新潟県へ訪れている。そして燕と三条の工場へ何度も取材へ赴いているが「工場見学をしやすいのもありがたい。本当に『オープンファクトリー』という雰囲気だった」と話す。同地域では多くの企業が「工場の祭典」に代表される工場見学の取り組みをつづけているが、その効果は観光だけでなく、漫画への取材協力という思わぬ形でも発揮された。また作品についてnamo氏は語る。「話を聞いていると、(漫画家として)職人さんに共感できる部分や共通の悩みも多くて、(職人を描くうえで)自分の中の引き出しとも重ね合わせている」──。

企画展「クプルムの花嫁のセカイ展」ではデジタル複製原画という形で、単行本や連載時よりも大きな絵を間近で閲覧可能。取材に基づき丁寧に描いた風景、そして職人たちの様々な内面が滲み出るようなシーンの描写は必見だ。

会期は4月16日まで。4月9日には、再び作者のnamo氏が来県してトークイベントが開催される予定。

 

【関連リンク】
燕市産業史料館 「企画展「クプルムの花嫁のセカイ展」のご案内」

namo氏 Twitter

 

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