野本互尊の功績と遺産に光を 市民有志が講演会を企画(新潟県長岡市)

野本互尊について解説する松本和明教授

新潟県長岡市ゆかりの偉人・野本互尊(恭八郎)の功績と、彼の残したものについて広く知ってもらおうと、新潟県長岡市では5日、市民有志によって記念講演会がまちなかキャンパス長岡で催された。講師は、長岡大学でも教鞭を執っていたことがある京都産業大学の松本和明教授(52歳)である。

小国地域の豪農・山口家から養子として長岡の野本家に入った互尊は、地元の経済に大きな影響を与えたことのみならず、「互尊文庫」の寄贈や「日本互尊社」の設立、明治節の制定を帝国議会に請願、富士山を始め、新潟県西蒲原郡弥彦村にある弥彦神社周辺や新潟県柏崎市にある赤坂山の公園整備などを構想するなど、文化的な面においても世の中に大きな影響を与えた。

講演は、現地での開催とオンライン会議アプリZOOMによる視聴が同時並行で行われ、新潟県長岡市内・市外から、併せて40名以上の参加があった。

講演会に参加した60代・女性は、「以前如是蔵博物館などにもいった。“(互尊が)奥さんをすごく大事にした”というのがよかった。話をきいてすごく良かったです」と感想を述べた。

松本教授は、「新たなテーマだったのでどうなるかと思ったが、聞いていた人の反応がよかった。こういう歴史物は大抵年配の男性が集まることが多いのだが、私の出番にしては珍しく女性も足を運んでいただいた。野本に関する興味関心が高いことがわかる」とした。

松本教授によれば、野本は“長岡の人”に留めるべきではない人物。「新潟県出身の偉人として、もっと県外での彼の活動、人間関係などを洗っていかなければならない」と、今後の研究に向けての意欲を燃やす。

講演会を企画した猪俣智之実行委員長(46歳)は、平素より付き合いのある株式会社NIHONDO(東京都品川区西五反田)の山近義幸代表取締役が互尊を大変評価しており、山近代表取締役との交流が契機となり、「幼い頃から親しみを持っていた互尊文庫と互尊翁について、改めて「その思想と活動の活発さ、凄さ、大切さを学んだ」という。生誕170年という節目と互尊文庫一時閉館ということをきっかけに、今回の催しを企画した。「(今年7月に開館予定の)ミライエでも、互尊文庫の設立当初の思いと、互尊翁の功績、思想が引き継がれ、広まれば最高です。(当初会場として予定していた)中央図書館が工事のため、小さな会場になってしまったことが心残りですが、無事に開催することができ、感無量です」と感想を述べた。

今後の野本互尊研究にむけて一石を投じた講演会となった。

野本互尊を「まだまだ研究の余地がある人物」と評す松本教授

(文・撮影 湯本泰隆)

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