賃上げに関するアンケート調査、新潟県内企業の約84%が賃上げを「実施する」

「賃上げを実施予定ですか?(択一回答)」県内企業の回答割合 報道資料より

株式会社東京商工リサーチ新潟支店は6日、新潟県2023年度「賃上げに関するアンケート」調査の結果を公表した。同アンケートは、2月1日から8日の期間にインターネットによるアンケート調査を施し、有効回答は新潟県115社、全国4,131社を集計したもの。

その結果によると、「賃上げを実施予定ですか?(択一回答)」という問いに対して、新潟県の企業の回答で最多となった回答は、「実施する」の84.3%(115社中、97社)で、全国回答の80.6%(4,131社中、3,333社)を上回った。全国回答での「実施する」は大企業の85.5%(478社中、409社)に対し、中小企業は80.0%(3,653社中、2,924社)となり、依然として規模による実施率の差は大きく、中小企業の賃上げ実施率の引き上げが課題といえるものとなった。

『実施する』と回答した方に伺います。賃上げ率(2022年度比)はどの程度を予定しますか?(小数点第一位まで)」という問いに対して、新潟県の企業の回答で最多となった回答は、「2%以上3%未満」の26,1%(65社中、17社)。次いで「3%以上4%未満」 および「5%以上6%未満」の23.0%となった。連合が掲げる賃上げ率「5%以上」実施予定の企業は新潟県で26.1%、全国では29.2%だった。

業種別回答割合 報道資料より

『実施する』と回答した方に伺います。内容は何ですか?(複数回答)」という問いに対して、県内企業の回答で最多となった回答は、「定期昇給」の75社だった。次いで、「ベースアップ」47社、「賞与(一時金)の増額」37社と続く。

全国回答では、「定期昇給」は大企業の83.8%(337社)に対し、中小企業は76.8%(2,211社)、「ベースアップ」は大企業の55.9%(225社)に対し、中小企業は49.2%(1,415社)で、それぞれ中小企業が7.0ポイント、6.7ポイント下回った。基本給に関わる賃金の底上げは、中小企業にとって負担が大きいことを示している。

賃上げ内容一覧 報道資料より

一方、「『実施しない』と回答した方に伺います。理由は何ですか?(複数回答)」という問いに対して、県内企業の回答で最多となった回答は、「コスト増加分を十分に価格転嫁できていないため」の12社、次いで「原材料価格が高騰しているため」および「電気代が高騰しているため」がそれぞれ11社、「燃料代が高騰しているため」も9社となり、足元のコスト上昇圧力に対して価格転嫁が進められず、賃上げに踏み切れない中小企業の厳しさが浮き彫りとなっている。

来年度(2023年度)、貴社では非正規の従業員に対して賃上げ(時給アップや一時金の支給・増額など)を実施しますか?(択一回答)」という問いに対して、県内企業の回答で最多となった回答は、「実施する」の55.0%(89社中、49社)だった。全国は55.7%(3,184中社、1,776社)となった。全体の賃上げ実施率の84.3%に対し、29.3ポイント下回っている。

『実施する』と回答した方に伺います。賃上げ率(2022年度比)はどの程度を予定しますか?(小数点第一位まで)」という問いに対して、新潟県の企業の回答で最多となった回答は、「3%以上4%未満」の35.4%(31社中、11社)。次いで、「4%以上5%未満」が29.0%(9社)となった。「5%以上」の賃上げを予定している企業はなく、全国回答の30.2%を大きく下回る結果となった。

加えて、「『「実施する』と回答した方に伺います。理由は何ですか?(複数回答)」という問いに対して、新潟県の企業の回答で最多となった回答は、新潟県、全国ともに「人材を確保するため」が最も多く、新潟県は87.5%(48社中、42社)、全国は74.3%(1,732社中、1,287社)だった。次いで、「生産性を上げるため」の39.5%(19社、全国は28.6%、496社)、「最低賃金の上昇にあわせて」の27.0%(13社、全国は44.5%、772社)、「同一労働同一賃金の観点で」の16.6%(8社、全国は14.1%、245社)の順。

東京商工リサーチ新潟支店はレポートの中で、「2023年度に賃上げを『実施する』予定の企業は新潟県84.3%、全国は80.6%だった。コロナ禍当初の2020年度は5割台にまで悪化した賃上げ実施率は、コロナ禍前の水準にほぼ戻っている。ただ、業績回復による本来の賃上げとは異なり、急速な物価上昇が後押ししている動きでもある。そのため、非正規従業員への賃上げ実施率は低位にとどまり、2021年4月からパートタイム・有期雇用労働法の改正法が中小企業にも適用され、賃上げも『同一労働同一賃金ガイドライン』に基づいた対応が求められている」と分析している。

非正規の従業員への賃上げ回答割合 報道資料より

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