【新潟企業の上場を喚起】「不易流行、間違わないで欲しい」ハードオフ山本会長、株式公開(IPO)をテーマとした基調講演・パネルディスカッションを開催【動画あり】
新潟経済同友会、新潟ニュービジネス協議会、新潟ベンチャー協会は8日、3者主催による株式公開(IPO)をテーマとした講演イベントを、新潟県ITイノベーション拠点のNINNO(新潟市中央区)で開催した。会場には、上場を目指す起業家など約50人が訪れた。
第1部では、株式会社ハードオフコーポレーション(新潟県新発田市)の山本善政代表取締役会長が「目指して欲しいIPOと想いのリレー」と題し、同社が株式公開に至るまでの歩みを披露したほか、上場することの意義などについて講演した。
上場することの最大のメリットについて、山本会長は、「とんでもない信用がつく」と話した。上場し信用が高まることで、情報の質と量が上場前とは桁違いに入って来ると言い、さらに「いい人材も集まってくる」と語った。
また山本会長は、経営において大事なこととして、「経営理念の大切さと時代に合ったビジネスモデルを持つこと」を訴えた。山本会長は、「夢と志に沿った正しい理念は何なのか。それは絶対に変えてはならない『不易』。そして、『流行』は時代に合わせて変化しなければいけないもので、優れたビジネスモデルであり続けなければいけない、ということ。これが出来ていれば黙っていてもIPOは付いてくる。IPOは通過点。一番言いたいことは『不易』は何か、『流行』は大丈夫かということを自分で確認して欲しい」と話した。
第2部では、「新潟県IPO企業を5年で50社超とするために」と題したパネルディスカッションを行った。木山産業株式会社(新潟市中央区)の木山光代表取締役社長がモデレータを務め、ハードオフコーポレーションの山本会長、株式会社第四北越銀行(新潟市中央区)コンサルティング事業部の佐藤順副部長、フラー株式会社(新潟市中央区)の渋谷修太代表取締役会長、株式会社東京証券取引所(東京都)上場推進部の染井健吾主任がパネリストとしてトークティスカッションを行った。
IPOを目指しているフラーの渋谷会長は、「上場は創業時くらいから意識はあったが、意識高く思い始めたのは新潟に関わり始めたとき。(スノーピーク代表取締役会長の)山井さんや山本さんがいらっしゃって、シンプルにかっこいいと思った。新潟の場所で応援してもらえる先輩がいるということはすごく大きいことだった」と話した。
第四北越銀行の佐藤副部長は、新潟におけるIPOに関する相談状況について、「最近は具体的なものはないが、新潟でIPOを目指す人たちをしっかりと金融機関の立場として支援をしていきたい。また銀行だけではなく支援サイド企業と力を合わせてお手伝いしていきたい」と話した。
東京証券取引所の染井主任は、「東証としては、株式市場を通じて日本をより元気にしていくこと。それを実現していくためにどうやっていくのかというときに、地域の会社に上場という一つの選択肢を持っていただくことによって、雇用を創出し、意識やニーズを喚起する。そういったことを実現させていくことによって、地域をより活性化していき、ひいては日本全体が元気になっていく」と話した。
現在、新潟県内の上場企業は38社。山本会長は、東京証券取引所の市場区分のなかで、「グロース市場」に県内企業が0社という点を挙げ、若手の起業家にもっと頑張って欲しいと発破をかけた。今後の県内におけるIPOへの動きが、ますます活発になることが期待される。
(文・撮影 中林憲司)