社交飲食業の関係者が苦しい現状を言及、“まん防”発令訴える

新潟市内では3月30日から4月5日の新規感染者において、新たに43件の感染のかたまりが発生した

全国各地で新型コロナウイルス感染症拡大による第4波が訪れ、新潟県内でも感染の拡大が続いている。3月31日から4月6日までの1週間の新規感染者は計154人過去最多となり、特に新潟市の感染者が増加していて県内感染者の半数近くは新潟市内での感染者となっている。中でも飲食店関連の感染が多いと言われていて、「3月20日以降、少なくても市内の10店舗以上で感染者が確認されています」と、新潟市中央区の飲食店関係者は打ち明ける。

今月6日に新潟県がメディアに行なった説明でも、3月30日から4月5日の新規感染者において、新たに43件の「感染のかたまり(※)」が発生し、このうち飲食店に関係していると思われる感染のかたまりは8件だった。地域別では新潟市が20件で、うち飲食関係は6件だったという。

特に、接客を伴う飲食店や、夜遅く、朝方まで営業している飲食店で感染者が出るケースが多いという。「キャバクラの従業員が勤務後にプライベートでボーイズバーへ来店したり、逆にボーイズバーの従業員がキャバクラに来店し、そこで感染するケースなど、同じ業態の界隈での感染事例が多かった」(飲食店関係者)

さらに、そうした感染が起点となり、家族内や職場内での2次感染に繋がっているケースも少なからずあるようだ。

「接客を伴う飲食店はどこもはまさに“死に体”で、非常に苦しい立場にありますが、接客を伴う飲食店が感染拡大の元凶と考えるのであれば、“まん延防止等重点措置”を発令していただきたい」(同)とため息交じりに語った。続けて、「どの店舗も時短営業はしたくありません。ですが、感染拡大を封じ込めるためにはしょうがない。新潟市内の飲食店を救うには、時短要請をして感染を封じ込め、各店舗の売り上げに応じて補助金を出すなどの措置が必要です。このままでは歴史ある新潟市の飲食店が無くなってしまう。それだけ切羽詰まっています」と訴えていた。

一方、行政サイドも手をこまねいているわけでもない。新潟県の新型コロナウイルス感染症対策本部は9日午後、新潟市内の繁華街の飲食店に対し、新潟市と共同で営業に伴う感染防止対策の徹底を呼び掛けるための見回りを始めた。

新潟市内を中心に、飲食店関連の感染が増加していることを受け、見回りを始めたもの。初日にあたる9日は新潟駅周辺の万代口と南口エリアの飲食店を対象に、新潟県と新潟市の職員が三班に分かれて30店舗を目安に巡回。弁天マスク着用、手指消毒、ソーシャルディスタンスの確保、換気等の感染防止対策の実施状況を確認し、徹底を呼びかけた。

また「飲食店に対する見回り」と合わせて、新潟県と新潟市は4月10日から5月9日まで、新潟市中央区内の飲食店の従業員を対象に無料のPCR検査(ドライブスルー方式)も行うという。対象は、中央区内で営業している飲食店のうち、「概ね9時以降、営業をしている(特に深夜営業している)」「酒類の提供をしている」「接待を伴う(バー、キャバレー、スナック)」に当てはまる店舗の従業員となる。

ただ、連日検討している飲食店に対する時短の要請については、人口10万人あたりの感染者数が10人を突破して増えている状態ではないことに加え、感染経路不明の感染者数も30〜50%程度に止まっていることから、9日も見送られた。

新型コロナウイルスの感染拡大を押しとどめることができるのか、それとも、感染拡大を許してしまうのか、新潟県と新潟市の対策にスポットライトが当たる。

(※)感染のかたまりとは、これまでの感染経路とは関係がなく確認された感染者を起点に、疫学的な繋がりが推測される感染者を一連のまとまりにしたもの。感染者1人の場合もあれば、複数人の場合もある。

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