【村上新聞】荒川中3年生の行動が復興の励みに 水害被災事業者らが感謝とエール
“あらチャレ”らしく地域を思う
ふるさとの未来のため生徒が地域課題を捉え、大人の協力を仰ぎながら行動し解決に向けたチャレンジに取り組む3年間に渡る学習「あらチャレ」を継続的に実施している村上市の荒川中学校(渡辺安治校長)で3日、卒業を間近に控えた3年生73人が最後の“あらチャレ”の時間を迎えた。豪雨水害という大きな出来事に揺さぶられながらも、伝統の“あらチャレ”らしく、地域への眼差しと行動を絶やさなかった生徒に感謝を伝えようと、学習活動を支援した人たちが駆けつけた。
SDGs=持続可能、をキーワードに地域課題解消に向けた生徒の自発的な学びと行動で実施されているあらチャレは2016年から続けられている学習活動。荒川商工会やまちづくり協議会が、地域を担う次世代を育成する観点から献身的に関わり、多くの人をいきいきと巻き込む活動となっている。
今年度の3年生も取り組みたいこととして4つのテーマを掲げていたところ、豪雨水害により活動は足踏みを強いられることに。しかし、生徒は被災事業所に手紙を届け、アルミ缶を回収して復興の一助としたり、坂町駅前をイルミネーションで鮮やかに彩ったりと、地域を元気づける活動に力を注いだ。例年であれば学習に協力している事業者らだが、被災したことから思うように関わることが不能に。そんな時にも自分たちのために行動してくれた生徒に感謝を伝えたいと、メッセージ動画と記念品を贈った。
たくさんの人を勇気づけたこと忘れないで
動画には「みなさんの地域を思う活動が、復興に向かう私たちの大きな励みとなりました」「コロナや水害でみなさんもたくさん我慢したと思う。これからはやりたいことにどんどんチャレンジしてください」といった事業者らの感謝の思いや、新生活へのエールが寄せられていた。
学習活動を支援した人々からも「いいことを言う人にはいい人が、悪いことばかり言う人には悪い人が寄ってきます。やさしい気持ちで、これからもチャレンジを」(荒川支所自治振興課・小田和浩さん)、「みなさんの行動でたくさんの人が勇気づけられたことを忘れないでください」(荒川商工会・柏櫓和子さん)、「被災後、何もしない時間がすぎていった時、みなさんが来てくれて力になりました」(いづみや旅館・伊藤眞さん)「働く、は『はた』を『らく』にすること。みなさんの気働きが、地域の人の心をあたためたのでは」(あらチャレ事務局長・酒井幸子さん)と、振り返りを添えた感謝の言葉が贈られていた。
小川航生さん(15)は「アルミ缶を集めただけ、と思っていたけれど、それによって元気づけられた人がいることを実感した」、齋藤遼太郎さん(同)は「春からは自分の野球でもう1回勇気づけられるようにがんばります」と話していた。
村上新聞2023年3月11日号