【独自】再考・企業とは?経営者とは? シンセイ・ビジネス・コンサルタント(新潟県上越市)の鈴木俊夫代表取締役に聞く
手元にある広辞苑で「企業」と引くと、「生産・営利の目的で生産要素を総合し、継続的に事業を経営すること。また、その経営の主体」とある。筆者は「企業とは利潤を追求する事業体」だと学生時代に習ったが、ホテル、レストラン、道の駅など数々の経営再建を手がけてきた有限会社シンセイ・ビジネス・コンサルタント(新潟県上越市)の鈴木俊夫代表取締役は「アメリカの経済学者ピーター・F・ドラッガーは『企業の目的はお客を作ることだ』と言っている」と話す。
ドラッガーは経済学の分野では有名な学者だが、2010年に179万部のベストセラーになった「もしドラ」(「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」)で一般的にも有名になった故人の経済学者だ。
鈴木代表は「社長の仕事は何であるかというと、もちろんマネジメントもあるが、お客を作ることだ。お客様が減ったり、いなくなったりすると会社は営業していけない。しかし、ピンチはチャンスだ。ピンチの中に沢山のヒントが隠されている」とも言う。
また、「お客様のために仕事をしてお客様が喜んでくれなくては、お客様は対価を払ってくれない。私たちの給料はお客様の満足によって頂いた対価なのだ」と語る。
また、「会社とは、ビジネスとはつまり、接客サービス業だ。業であり、文字通り、サービスを仕事にしている人たちである。お客様がいないと潰れる。いらっしゃいませ、ありがとうございました、お見送りが大事だ」とも。
鈴木代表によると、飲食店などは、特に3つの点が重要だという。1つ目は施設、2つ目は料理、3つ目はサービスだ。さらに、サービスには物的サービス(食器、ソファーなど)と人的サービス(明るい声、笑顔、お見送りなど)がある。
「人的サービスは、具体的には目配り、気配り、心配りだ。『ありがとうございました』と言っても心がこもっていなければお客様に伝わらない。あとは、トイレ。味が良くても、トイレが汚いとリピーターにならない」と語る。
鈴木代表は長年企業の社員教育に携わってきたが、現在は上越市内で月1回ペースで経営者のためのビジネス勉強会「強運塾」を開催しているほか、コロナ禍前に毎年1回の13年間実施していた1泊旅行の懇親会「強運の会」を今年は再開する意向であり、今後は経営者教育にも注力していく考えだ。
(文 梅川康輝)