【NIIKEIキシャメシ】3月27日 新潟市中央区古町7番町のコロッケそば

古町通7番町のアーケード内にある咲良亭。人気店で、昼時を多少ずれてもひっきりなしにお客さんが来る

まっこと立ち食いソバはビジネスマンの味方である。

そんな立ち食いソバの世界で、長く論争の具になっているのが「コロッケそばは本当にうまいのか」という問題。
普段いかない人はなじみがないかもしれないが「コロッケそば」は立ち食い店の定番メニューだ。それも昭和40年代から長く続く、立ち食いメニューのゆるぎない幹部クラス。熱狂的なファンも多い。ただねえ…「俺コロッケそばに目がないんだよね」などという人が、どうも眉唾くさいと思っているのは記者だけだろうか。

だって、かけそばにコロッケを投下しただけというわんぱく過ぎるビジュアルは、明白に1+1が2を下回ってきそうな組み合わせ。何も産み出さないどころか互いの足を引っ張りかねない。コロッケもかけそばも単体なら大好きだ。別皿じゃだめなのか。かくいう記者も何度かコロッケそばを食べたことはある。しかしその時の味が全く印象に残っていない。美味さに心震えた記憶もなければ、マズくて辟易した覚えもない。自分的にアリなのかナシなのか覚えていない。

そこで、自分なりのコロッケそば評に決着をつけるべく、向かったのは新潟市中央区古町通7番町の「咲良亭」。かけそば300円(税込)、小カレーやいなり(2個)をつけても500円(税込)。

まさしくコロッケ・オン・ザ・カケソバ。にしんそばのような季節の風情も特にないところがかわいい。380円(税込)

コロッケそば380円(税込)の食券をカウンターに出すと約1分で着丼。この時点でそばの上に乘ったコロッケを箸でリフトしてみたが、まだしっかりと揚げたてカリカリボディを保っている。まずはそばをひとすすりしてつゆを飲む。予想どおりコロッケからは何も与えられていない。変に油くさくなってもいない。トッピングはコロッケのほかはネギとわかめ。わかめとコロッケの味の親和性・・・・あるわけない。

さてコロッケいっちゃいますか、と箸で持ち上げると、なんとすでに裏側の衣はつゆがシミシミ。箸でちぎるまもなく、もろくも中央から割れて崩壊していった。コロッケそばは1分ごとにその姿を変える。

ここからはもうカオスの始まり。崩れ落ちたコロッケからこぼれ出るマッシュポテトがかけつゆの中を浮遊し、少しずつ溶けだす。一方で半分残ったコロッケは外見は健在、だが裏返すとぶわぶわにつゆがしみて「いつでも崩壊してやりますよ」というカマえ。カツ煮のような「俺いっぱしの料理ですよ」というプライドはもはやない。ただ、じゃがいもが溶けだしたツユをすすると、これはこれで悪くない。

コロッケはすぐにつゆがしみてブワブワになる。いったん割れたらカオスの始まり。むしろカオスを愉しむ大人でありたい。

ぼやぼやしていると今度はそばが伸びてしまう。立ち食いソバは優雅にランチを楽しむ場所ではないのだ。そばを一気にたぐり丼のツユを飲み干す。丼の底に残ったジャガイモの残骸が妙にかわいらしい。
論争への記者なりの結論。コロッケそば=かわいい。

 

【立ち食いうどん・そば 咲良亭】

新潟市中央区古町通7番町934-2

営業時間 11時~18時  日曜定休日

(編集部・I)

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