【独自】サクラ印刷(新潟県上越市)、DXの真逆を行く「反デジタルのアナログ戦略」

本社玄関に飾ってあるドイツ製の印刷機

ドイツの金細工師ヨハネス・グーテンベルクが活字の開発とそれを使った活版印刷術を発明したのが1450年頃。今から約570年前である。日本ではなんと室町時代だ。

1990年代末からの電子書籍の登場で第2の印刷革命と呼ばれたが、昨今のネット時代の到来により、DX(デジタル・トランスフォーメーション)というさらなる革命が起ころうとしている。

そんな中で、サクラ印刷株式会社(新潟県上越市)の栗原取締役営業部長は言う。

「紙の値段が約1.5倍上がっている。パルプの高騰のためもあるが、石炭の価格の上昇が一番響いている。紙の加工段階で火を使うため石炭が必要になるが、その石炭は従来ロシアから安価に輸入していた。しかし、現在も続くウクライナ侵攻により、ロシアからの輸入が不可能になり、代わりにオーストラリアからの輸入に代わった。オーストラリアからでは海の運搬料が高く、ロシアと比べて価格が倍以上になっている」と話す。

さらに、ダブルパンチで電気代も上がっているわけで、印刷機の動力や印刷工程で必要な一定の温度管理、湿度管理のためにコストが上昇している。

「製紙メーカーは何度も値上げしている。弊社で吸収できなくなれば、うちも価格転嫁をせざるをえない」と栗原取締役。

そんな中、取引先もチラシなどからデジタルへの移行をしており、従来の受注の減少を余儀なくされているという現状がある。

これを打破するため、昨年12月からサクラ印刷では、卓上カレンダーなどで付加価値の高い活版印刷の商品を投入している。ずばり、DXの真逆を行く「反デジタルのアナログ戦略」のである。活版印刷という味のある1枚1枚人の手による印刷だ。そのため、全てが同じ印刷にならないというレアものである。

栗原取締役は「保存性、肌触り、手触り付加価値のある印刷方法が売りだ。インテリアとして、卓上カレンダーを会社で展示販売している。今後は飾られるポストカードなども商品化していきたい」と話していた。

(文・撮影 梅川康輝)

サクラ印刷株式会社の栗原取締役営業部長

活版印刷の卓上カレンダー

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