東京商工リサーチ新潟支店が「2022年度 新潟県企業倒産状況」を発表

新型コロナウイルス関連倒産増加に伴い、件数・負債総額ともに前年度を上回る

 

東京商工リサーチ新潟支店は2022年度(4月~3月)の新潟県の企業倒産状況を公表した。倒産件数(負債総額1,000万円以上)は76件、負債総額は202億6,000万円。倒産件数は、前年度比26.66%増(16件増)となり、年度としては1962(昭和37年)の集計開始以来61年間で56番目、平成以降の34年間では32番目の件数となった。負債総額は、前年度比108.41%増(105億3,900万円増)で、過去61年間では39番目、平成以降の34年間では25番目。

産業別では、10産業のうち、「サービス業他」が28件で最多となり、次いで「製造業」 が16件、「小売業」が11件、「建設業」が9件、「卸売業」が6件、「運輸業」が3件、「農・林・漁・鉱業」・「不動産業」・「情報通信業」が各1件発生した。

原因別では、「販売不振」が65件と最多で、「既往の シワ寄せ」が6件、「事業上の失敗」が3件、「他社倒産の余波」・「その他(偶発的原因)が各1件。

形態別では、「破産」が61件と最多となり、次いで「銀行取引停止」が7件、「内整理」が6件、「特別清算」が2件となった。大型倒産(負債総額10億円以上)は2件。新型コロナウイルス関連倒産は76件中43件。

2018年にデータセンターを長岡に開設したスペースキットが企業清算に

スペースキット株式会社(旧商号:株式会社データドック、長岡市・登記上:東京都中央区、資本金1000万円、代表清算人:宇佐美浩一氏)は10月5日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。負債総額は2021年3月期時点で47億5866万円であるが、その後変動している可能性がある。

2016年に、東京都千代田区においてデータセンター事業等を目的に設立された事業体。2018年1月にはAIやブロックチェーン処理などで高まる顧客の需要に対応したデータセンターを長岡市に開所、話題を集めていた。その後、同施設の稼働に伴い、2019年3月期は売上高1億5572万円を計上したが、減価償却費の負担などが重く、10億1608万円の赤字を計上。その後もデータプレパレーションサービス事業や寒冷地型データセンター事業を他社に譲渡して事業を縮小、2021年3月期は事業譲渡に伴う損失等を計上した模様で25億2805万円の赤字を計上、債務超過額も43億910万円に拡大していた。

このような状況下で2022年6月29日の株主総会で解散、清算手続きを進めていた。なお、当社の事業及び施設は他社が譲り受け、現在も事業を継続している。

コロナ破たんは当面、増加傾向が続く可能性が高い。

国や自治体、金融機関等による資金繰り支援や雇用調整助成金といった企業への支援策で倒産は抑制されていたが、想定以上に長引いたコロナ禍で企業体力が徐々に損なわれ、新型コロナウイルス関連倒産の増加で倒産件数・負債総額ともに前年度を上回る形となった。結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で5,951件に達した。企業は業績回復とともに、コロナ関連融資の元金据え置き期間の終了を控え、返済とコストアップへの対応の両立が求められている。体力を消耗した企業の脱落やあきらめ型を中心に、コロナ破たんは当面、増加傾向が続く可能性が高い。

行動制限の緩和や5月には新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類変更(2類から5類へ)も予定され、コロナ禍の出口が見えてきた一方で、過剰債務に対する懸念は以前から浮上していたが、今後返済がピークを迎える状況で、業績回復が遅れ、返済原資を捻出できない企業を中心に倒産増加が想定される。

また、金融機関は企業リスクに見合った金利設定を進めており、物価高や賃上げなどへの対応で企業体力が弱まっている状況下での金利引き上げは企業の資金繰り悪化に拍車を掛ける可能性があり、今後の倒産動向を注視する必要がある。

 

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