【統一地方選】これが時代の流れか?県議選で無投票区が13も出た理由②
【統一地方選】これが時代の流れか?県議選で無投票区が13も出た理由①はこちら。
無投票区13という戦後最多の「不戦勝」を出した2023年の統一地方選・新潟県議選について。
かつての激戦場でも・・・
2019年の前回県議選で無投票区は7選挙区、それでも「多いな」という声はあがっていた。4年経て、今回はその倍近くまで増えた。
新潟県の選挙戦を長く見てきた身からすればある種の「隔世の感」は否めない。かつて複数の候補が血で血を洗う(はオーバーか?)戦いでしのぎを削った「政争の街」が今回相次いで無投票区になっているからだ。
例えば柏崎市区。こちらは2人区だがかつて三富佳一、東山英機というベテランの自民党議員で議席を独占しており、ここに原発反対派の革新系候補がからむ展開となって、保革の争いもさることながら自民同士の順位争いなど激戦を繰り返してきた地域だ。ましてや国内最大の原発を抱える地域。再稼働問題で揺れる中だが、今回選挙戦は行われない。原発再稼働容認姿勢の現職と反原発・再稼働阻止の新人の二人で議席を分け合う形に。どのみちこの議論は選挙区を二分するものと考えれば、割って入る余地もないのかもしれないが。
西蒲区選挙区は2期続けて無投票で、反自民系の無所属・重川たかひろ氏が3選を果たした。20年ほど前までこの地域の選挙は「西蒲選挙」とう蔑称がつくほど”実弾”が飛び交うほどの「仁義なき戦い」が繰り広げた政争の地域だった。国政選挙においても自民の大物が並び立つ地域だっただけに、保守間のつばぜり合いでバチバチの土地柄だったのだ。
それを考えると・・・・
ほかにも、前回選挙戦で自民系候補が一本化されずに僅差の選挙戦となった南魚沼市や、保守系の対立が長く続いた三条市など、かつての政争が熾烈だった地域から無投票が相次いでいることに驚かされる。良きにつけ悪しきにつけ時は確実に流れ、そして今、新潟の選挙の歴史が新しいフェーズに突入したととらえるべきなのか。
「無投票阻止」の意義
政令市・新潟市市議選・北区選挙区では今回、公示日直前まで無投票決着の様相を呈していた。定数5人に対し自民党2名、立憲民主推薦1名という現職に加え、共産党新人1名、保守系無所属新人1名のほか立候補者は出ない公算が強かった。ところが告示の1週間ほど前に、国政政党・日本維新の会の地方支部、新潟維新の会(代表・浦野靖人代議士=比例近畿ブロック選出)推薦の吉村祐一郎氏が同区からの出馬を表明、一転選挙戦となった。吉村氏は直前まで、中央区選挙区から出馬予定だったところ「無投票阻止」を訴えて急遽のシフトチェンジとなった。
新潟維新の会では、無投票の公算が強かった昨年4月の三条市議選で西村邦明氏を擁立し無投票阻止をした結果、当選。22人中16位というそれほど低くない順位で議席を獲得した実績がある。日本維新の会・地方支部として初の議席だった。北区では、二匹目のドジョウはなるか、といったところ。ただ西村氏の場合、長年市内で金物店を営んで地域の人々にそれなりに浸透していた背景もある。吉村氏は北区とは縁がほとんどない、いわゆる”落下傘候補”である故「ただただ無投票阻止のため?」という見方はある。
「無投票は良くない」「無投票も地域の声だ」と意見が入り混じる中で、新潟維新の会幹事長である石崎徹氏(元代議士)はその意義についてこう語る。
「中原(八一)市長をトップとする自民党市政の中で、反自民の声が通りにくくなっている。特に『NIIGATA2キロ』など中心市街地偏重と言われる現市政の中で、中心から遠い北区で議論が起こらないのは良くないと感じる。現に吉村候補が手を挙げて、注目もされるようになった」
また「現行の選挙区割りもどうかと思う。1人区だとどうしても現職や現職後継候補が有利となって、現体制への反対意見が通りにくい状況になり、無投票が助長されるのでは」とも話している。
新潟維新の会として候補者選びの基準はどこにあるのか、と問うと「意欲がある中で、とにかく明るい人」(石崎氏)と答えた。今回の統一地方選前半戦、新潟維新の会では現職1名を含む8候補(県議選2、市議選6)を立てて挑んでいる。結果はもちろんフタを開けるまでわからないが、「維新」の看板を掲げた選挙カー8台が新潟1区内を駆けている姿を見るにつけ、今後の国政選挙等に向けて一定のプロモーションにはなっているはずだと感じる。
(文・撮影 伊藤直樹)