【NIIKEIキシャメシ】4月10日 新潟市上古町、喫茶店のナポリタン
「男の人ってバカみたいにナポリタン、ナポリタンって喜ぶよね。どうせならトマトソースのパスタの方が良くない?」こんなことを言う女性がいる。
別にナポリタンを必要以上に持ち上げるつもりはないし、あれはトマト味ではなく「ケチャップ味」だし「パスタ」とも違う。ただし確かに男はケチャップ味に対し無防備になるクセもある。
ナポリタンといえば新潟市だと中央区古町通2番町にムーランという老舗の喫茶店がある。軽々しくカフェと呼ばないでほしいタイプの「サ店」だ。以前NIIKEIの事務所が近所にあったので、昼飯、取材、打ち合わせ、おさぼりタイムなどしょっちゅう利用させてもらった。
さて、件のナポリタンである。男が必要以上にこれを喜ぶのはなぜなのか。ムーランでナポリタンでも食って考えるか。「ナポリタン480円」「コーヒーとセット580円」今時この値段。「ミートソース」も同価格だ。記者は一時期、週4で訪店してこの二つを交互に食べていたことがある。
オーダーすると先に粉チーズとタバスコのボトルが出てくる。そこからややあって着皿。サウザンアイランドっぽいドレッシングがかかった野菜サラダ+ポテサラがナポリタンと同じプレートに乗ってお得感がある。
見た目にも明確に番手の太さを感じるスパゲッティ。サ店ナポリタンはこうじゃなきゃ。具は玉ねぎ、ピーマン、マッシュルーム、ソーセージと王道。ケチャップ味がかなり濃いが、こっちのほうが粉チーズをドバドバかけた時に味の伸びしろがある。記者はタバスコ使わない派だが、お好きな人はどうぞ。
こうして久々に食べてみるとナポリタンって普通だな。それはムーランのがどうというより「ここのナポリタン最高、どうやって作るのこれ」みたいな店に出会ったことがない。そのかわり美味しくないナポリタンにもお目にかかったことはない。だから良いし、変に付加価値こいて高い値段で出している店はちょっとカチンとくる。
なぜ男はナポリタンが好きなのか、考えながらフォークを進める。周囲を見渡す。顧客と打ち合わせする不動産屋、経済新聞の株価の欄を真剣に見ながらランチをする年配のビジネスマン、学校帰りの女子高生、ウォーキングの途中なのか、軽装のご婦人・・・こうしている間も街は生きて、呼吸しているな。こういう再確認でホッとするし、少し元気になる。
サ店のナポリタンを食べていると「自分も街の一部だ」と思えるのが良い。それは懐古趣味やノスタルジーではなく「いつもの街、いつものナポリタン」。そんなところが好きだ。
COFEETERムーラン
新潟市中央区古町通2番町664-1
営業時間11時~18時 日曜日定休
(編集部・I )