【独自】持続可能な盆栽「ART MIX BONSAI」が彩る空間演出、インテリア盆栽作家のSANOYOI-咲の宵- 髙井一平氏インタビュー【動画あり】
日本国内のみならず世界にも愛好家がいる日本の伝統的芸術「盆栽」。施肥、剪定、針金掛け、水やりなど、時間と手間をかけて作る盆栽は、式典やレセプションなどの場を静かな存在感で演出する。
「盆栽」の造形美を活かし、新しいスタイルで空間演出するインテリア盆栽が話題となっている。オリジナルブランド「ART MIX BONSAI」を立ち上げ、インテリア盆栽作家として活動する髙井一平氏に話を聞いた。
新しい盆栽のかたち
時にはプロでも枯らしてしまうことがあるという「盆栽」。枯れた盆栽は本来捨てられてしまうが、「大切に育てられてきたものをただ処分するのではなく、活かすことは出来ないか」と考えた髙井氏は、枯れた盆栽を譲り受けてアップサイクルしたのが「インテリア盆栽」だ。
枯れた盆栽をドライ状にし、ブリザード加工した葉などで装飾していく。全行程を髙井一人で作り上げていくインテリア盆栽は、製作開始から完成までの期間は、短いものでも2ヶ月以上を要するという。
インテリア盆栽はその名の通り、屋内に置いて鑑賞できることが特徴のひとつ。水やりなどは不要で、管理する上で特別な知識もいらない。
また、生きている盆栽では表現できない多彩な「色」を作品に取り入れることができることも大きな特徴だ。髙井氏は赤やオレンジ、シルバーなどを装飾に取り入れ、観る人に驚きと強いインパクトを与える作品を生み出している。
きっかけは「影」への興味から
髙井氏は、新潟県見附市出身の37歳。以前は、新潟市中央区でゲストハウスを経営した経歴を持つ。インテリア盆栽作家となるきっかけは、「影」への興味だったという。
「10代の時、あるアーティストのライブのオープニングで、影を映してから登場する演出を観て感動し、影に興味を持ちました。それから『何を映したら格好がいいだろうか』と考えていった時、父親が嗜んでいた盆栽にたどり着きました」(髙井氏)
盆栽について調べいくうちに、造花で作る「クラフト盆栽」の存在を知る。髙井氏は、日本クラフト盆栽作家協会の青木悦子氏に師事し、インテリア盆栽作家としての活動を2019年よりスタート。さらに、枯れた盆栽の木を活かして作る「ドライ盆栽」にも出会い、一般社団法人世界ドライ盆栽協会の藤田茂男代表から、ドライ盆栽の技術を学んだ。
これらの技術を磨いた髙井氏は、クラフト盆栽とドライ盆栽の2つを融合させたオリジナルブランド「ART MIX BONSAI」を立ち上げ、現在に至る。
髙井氏は、「作品制作を初めてからこれまで、ほとんど作品を観ていただく場を開拓することなく、制作に集中してきた。ここ最近で展示会などでの出展を始めたが、外に出てみて思うのは、良い反応はいただけるという事。続けていきたいという気持ちはより強くなっている」と意気込む。
盆栽と影で表現する空間演出
2023年3月。新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ「能楽堂」において、お笑いコンビキングコングの西野亮廣氏の講演会が開催され、その際に会場を演出したのが「ART MIX BONSAI」。その造形美、色彩、存在感が来場者からの注目を集め、話題となった。
髙井氏は、「もともと影の演出をしたいという想いがあるので、作ったインテリア盆栽をただ販売することというよりも、これを使った空間の装飾や演出をしたい。それを観た人に何かを感じてもらうことが嬉しく感じる時です」と語る。
髙井氏が目指すのは、盆栽の新しいスタイルによる価値創造。「ART MIX BONSAI」の認知が広がることにより、原点である生きた「盆栽」と相乗効果が生まれることに期待したい。
【SANOYOI-咲の宵-】
住所 新潟市西区鳥原625-9
ホームページ https://sanoyoi.com/
(インタビュー・文・撮影 中林憲司)